15話 闘技大会 予選2
会場に入る。円形の石でできていて、場外は水になっている。そのため場外になったら、予選に復帰する不正行為はできない。そしてノアさんと合流する。
「じゃあよろしくね」
「はい」
ノアさんを除く参加者を見る限り強そうな人はいない。でも俺は予選通過が目標なわけじゃない。本戦でベスト8以上が目標なためこの試合も工夫して戦わなくちゃいけない。まず実力を隠して戦わなくちゃいけない。本戦出場者も予選は見ていると思う。だから予選を本気で戦ってしまうと本戦で戦う時手の内を知られて戦うことになってしまう。予選を出ているため、本戦から出場する人たちより体力はディスアドバンテージだ。それに加えて手の内まで知られていたら勝てる気がしない。
試合の合図がした。すぐさま周りの人たちが俺とノアさんに攻撃を仕掛けてくる。はっきり言って幼稚な攻撃だ。正面から剣で切りかかってくるなんて...。それも後衛の魔法使いがいない。的ですよって言っているようなもんだ。
俺は相手の剣をかわしながら、
二人で何十人倒しただろう。それほどに感じるぐらい倒した。残り3人。
「ノアさんどうしますか?」
「そうだね。ここで二人で戦ったら簡単に行けるだろう。でも相手さんにも申し訳ないしここはじゃんけんで戦う方を決めようか」
「そうですね」
俺はチョキ。ノアさんはパーを出した。
「じゃあ僕が戦うね」
「お願いします」
そう言ってノアさんが戦い始める。ちゃんと戦いを見るのはこれが始めて。戦い方がきれいで見とれてしまう。相手をほんろうするフェイクを入れて倒す。それも剣の型を壊さずに倒してしまった。
「お待たせ。じゃあ戦おうか」
「はい」
最初はお互い探りを入れながら間合いを図る。距離にして7.8メートル。この均衡を崩したのはノアさんだった。一瞬にして間合いを詰めてきた。
(速い...)
剣で受けるのがやっとだった。その後も攻撃は続く。左から来ると思った剣が来なく、なぜか右から来た。俺はギリギリかわせたと思った。なのに腹部に痛みを感じる。
(なんでだ?)
この攻撃が何度も来る。防戦一方...。
俺は一旦後方に下がり身体強化を使う。そして切りかかる。剣技じゃかなわない。だったら力と動くスピードで対抗する。それに加えて
そのまま8分ほどが経った。
「降参します」
俺は降参した。勝ち目が見えない。預言や
「まだまだだろ?」
「買い被りすぎですよ。俺はこんなもんです」
「そっか...」
そして審査員が言う。
「勝負あり!」
審査員が言うのと同時に司会者が会場に入って来てインタビューが始まる。
「1位通過おめでとうございます!」
「はい」
「ご職業は何ですか?」
「聖騎士です」
「すごいですね! 1位通過も納得です。本戦でも頑張ってください」
そして俺の番がくる。
「2位通過おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「ご職業は何ですか?」
職業...。俺は預言者を気に入っているし、慣れてよかったと思う。でもみんなからしたら底辺職業。ここで本当のことを言っていいのか?
そう思ったが、ここまで強くなれたのはノエルやアマテラス様、ミネルヴァ様のおかげ。それなのに嘘をつくってことはあの方たちに失礼なことだと思った。
「預言者です」
「預言者...。マイナーな職業ですね。本戦も頑張ってください」
「はい」
反応がこんな感じなのはわかっていた。観客もガヤガヤし始めている。だけど俺は観客や司会者などの目よりあの方たちの方が大切だし、尊敬している。だからこの回答が間違っているとは思わなかった。
会場内に戻ると第1ブロック出場者たちからヤジが飛ぶ。
「俺も第2ブロックが良かったわ」
「俺もだよ」
「それな!」
「ちょっとあn」
エルミナが何か言おうとしたところでノアさんが言う。
「お前たちは負けた存在なんだよ。外野は黙っていろ。それにこいつは本戦でもいいところまで行くと思うぜ」
「...」
「本戦でも頑張ろうぜ」
「あぁ。ありがとう」
おれがお礼を言うと耳元で言われる。
「次は本気で戦おう」
「...」
バレていたか...。そして予選初日が終わった。
「クリスおめでとう!」
「ありがとう! 次からが本番だから」
「そうだね!」
「じゃあ明日のために宿で休むよ」
「うん!」
本戦の組み合わせは当日までわからない。でも予選2位通過者が当たるのは昨年の上位4人の誰か...。気を引き締めて挑まなくちゃだな...。
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