第3話 仲間
昨日はゴブリン退治をしたし、今日はコボルト退治をするか。ノエル様のお告げ通りにクエストを受けようとしているところでエルフの女性が話しかけてきた。
「昨日はありがとうございました!」
「気にしないでください」
「もしよろしければパーティを組みませんか?」
「え?」
俺は茫然としてしまった。昨日助けた人からいきなりパーティの申請をされれれば驚くだろう。でも結局は俺の職業を聞いたらやっぱり無しってなるに決まってる。
「俺の職業は預言者ですけど?」
「職業なんて関係ありません! 昨日助けてもらえたことが嬉しかったのです! それに前衛としてちゃんと動けてましたから、私は職業とかは気にしません!」
そこまで言ってもらえるのは嬉しい。だけど、アメリアみたいにまた俺が使えなくなったとわかったら捨てるんだろ? そんなのは嫌だ。そうなるんだったら俺は一人で冒険者をやっていた方がいい。
「その申し出はありがたいのですが、遠慮しておきます」
「なんでですか?」
「俺はあなたを信用していません。もしパーティを組んで俺を置いて一人で逃げだされてしまったら? もし俺が大けがをして戦闘ができない体になったらパーティ解散されたら? そう考えると、一人で冒険者をやった方がいいと思いましたので」
「...」
まあ普通は考えるよな。誰だってパーティ申請でこんなに言われる人はいない。それを俺はやってしまっているんだからな...。
「わかりました。明日の同じ時間にもう一度ここに来てもらうことはできますか?」
「わかりました」
そのエルフの方はそう言ってギルドを後にした。俺はコボルト退治を速やかに行い、クエストを完了した。
はっきり言って身体強化と
俺はそう思いつつ、宿に帰って預言を使う。
{どの未来がみたいですか?}
{未来じゃなくて未来を見る条件を教えてほしい}
{...。わかりました}
ノエル様がそう言うと、淡々と話してくれた。
まず一つ目に預言を使う人物の視界に入る人じゃなくちゃ未来を見ることはできない。二つ目に未来といっても大まかな未来しか見えない。
それ以上は話してくれなかった。でも今ので少しわかった。俺の視野に入っている人じゃなくちゃ未来は見えなくて、限定してこの未来を見たいってことはできないってことだよな。いい勉強になったが、毎回毎回聞けるわけじゃない。だから今後は自分で使ってみて模索しよう。
次の日の朝。昨日と同じ時間に冒険者ギルドに行くとあのエルフの女性がいた。それにしてもなんで俺にかまうかな? 助けたって言っても援護をしただけ。俺も恩着せがましく褒美が欲しいとか言っていないし、見ず知らずの人だからあまりかかわらないでほしいんだけどな。
「あの! 一日待たせてしまいすみません」
「大丈夫ですよ」
「一応、昨日言われたことの対策はしてきました。これを見てください」
そう言われて俺はエルフの女性から突き出されたものを見る。
第三王女エルミナ・ロドリゲス
「え?」
「あまりこのことは人には言わないでほしいです」
「...」
なんでエルフの王女様がこんなところに? もしエルフの王女様だったら俺は今までの態度的に不敬罪になるんじゃないか? もしかしてこのことを脅して一緒のパーティになれって言っているのか? そんなの断れないじゃないか...。俺一人で何とかなるできることじゃない。
「一緒のパーティに入らさせていただきます」
「よかったー。名前はなんて言うの?」
「クリス・ペテロと言います。よろしくお願いします」
「うん。よろしくね! 私はエルミナ!」
「はい。エルミナ様」
「様をつけたら怒るし敬語で話したらもっと怒るよ?」
え? それって自動的に不敬罪の罪が重くなるってことじゃ...。この人やりてだ。
やっと念願の冒険者になれたのに俺の人生って今後どうなるんだろう...。
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