第2話 道化の心境



 お前は何だ?

 そんなもん、俺が知りてぇくらいだよ。


 人格?

 ねぇよそんなもん。


 お前らが粉々に壊したんだろうか。


 何を考えているかわからない道化。

 常識にはあてはまらない存在。

 自分たちとは違うもの。


 さずかしいい的だったんだろうな


 おもしろおかしく舞台で踊っているのを指さして、腹を抱えて笑ってるお前ら。

 本当に、いい性格してやがるよ。


 最初は本当に、ただ笑わせたいだけだったんだろうさ。

 でも、今は何がおかしくて笑っているのか分からない。


 道化を求めたのはお前らだ。

 可愛そうで不幸な自分達のために、道化の出現を望んだのはお前らだ。


 それなのに、さんざん腹抱えて笑った後は、一番不幸で可愛そうな人間を作って、石をなげるんだもんな。


 はっ。


 笑えすぎて、涙も出てこねぇ。

 

 いぜ、やってやるよ。

 道化ってやつを。

 お望み通りにな。


 ただし俺がやるのは、楽しくおかしい道化じゃない、壊れた道化だ。


 壊れた道化がどう、こっけいな行動をしたって知らねぇよ。

 それがお前らが望んだもんなんだろう?



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る