第6話都市づくり
私はオアシス都市を作る事にしました。
それができるだけの住人と資金食糧があるので、躊躇いはありませんでした。
この国の都市の多くは、人口が二百人から五百人です。
小都市と呼ばれるところで、二百人以下ですから、比較的大きな都市でも人口は五百人から千人しかいません。
この国の首都である王都の人口でようやく三万人しかいません。
副都や大貴族が領都している大都市ですら、ようやく一万人しかいないのです。
その人口一万人を超える大都市が十五都市、人口千人を超える都市が二百ほどあるだけですから、私が王都の貧民千人以上を率いて築く都市は、この国ではかなりい大きい繁栄した都市となるのです。
最初は千人を越える貧民さえ飢えさせなければいいと思っていました。
いえ、王都で私が購入できる食糧と移住資材が二千人分が精一杯で、それ以上は連れてこれなかったというのが真実です。
ですが、大荒野にこれだけのオアシス都市を築けるのなら、もっと多くの人を救わなければいけません。
私が救いたいというのもありますが、守護神様のご意思が一番です。
これだけの加護を頂けた、一瞬で食糧を生産する農場を賜ったという事は、その農場に見合った民を救えと言う、守護神様の命令だと思います。
この命令に従わなければ、私は神の舞姫の座を追われることになるでしょう。
神の御意思に従ってこの世に正義を成し遂げるために、舞姫は存在するのです。
それに、私自身も、飢えに苦しむ人たちを見殺しにしたいわけではありません。
「そなたたちに命じます、この地の産物を持ってこの国を巡りなさい。
そして、昔のそなたたちのように飢えに苦しんでいる者たちを救いなさい。
この地に牧場を築くためのラクダや馬、山羊や羊を買ってきなさい。
そのための費用を惜しまずに使いなさい。
ただこれだけは忘れてはいけませんよ、そなたたちの一挙手一投足を、守護神様は見守っていますからね。
神の教えを破ったら、地の果てまで逃げようとも、天罰からは逃れられませんよ」
オアシス都市を出て、買い出しと貧民救済に向かう者たちを脅します。
彼らは弱肉強食の貧民街で生き残ってきた者達ですから、弱く虐げられるだけの者を救おうとはしませんが、それでは私の願いとは相反してしまいます。
彼らの考えを捨てさせて、私の考えに従ってもらわなければいけません。
オアシス都市にいる間は、私の命令に絶対服従でも、私の目の届かないところでは、自由勝手に振舞ってしまうのは確実です。
だからこうして脅しているのですが、それだけでは足らないかもしれません。
私や神々の目を欺けると思って悪事を働くと、天罰を下さないといけなくなってしまうので、彼らのためにも、ここは自制心を働かさなければいけないように、手を打っておきましょう。
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