6話・笑い声
信じられない!
なんで、残業なの。今から行くって言ったのに。
帰ってきてくれないなんて。
わかってる。タツミは年上でお仕事があって、私はまだ学生で。遊ぶ時間も、会える時間も違うって。
なんで、私こんなにワガママになっちゃったんだろう。
あぁ、謝ることがいっぱいだなぁ
ーーー
タツミのことばかり、思い出す。
いま、何もすることがないからだろう。不安ばかりが渦巻いている。
聖女って、聖なる女ってことだよね。
聖なる……いまの自分はとても聖女だなんて言葉が当てはまるとは思えない。なんで、私ここにいるんだろ。
ぎゅっと、足を抱えて顔をかくす。
お父さんお母さん、お兄ちゃんにも会えないのかな……。
握っている手に力がはいる。
「ねーねー、あんまり美味しくなさそうなのが来たよ」
「誰?!」
パッと顔を上げるけれど誰もいない。気のせい?
「キミがこの国に呼ばれた新しい契約の子でしょ?」
「け…い…やく?」
「またあとでね」
クスクスとたくさんの小さな笑い声が聞こえた。
今のはいったい……何だったの?
それきり、部屋の中はまた、静寂に包まれていた。
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