私が聖女っていったいどういうことですか?
花月夜れん
0話・はじまり
タツミと喧嘩した。かれこれ1年の付き合いだ。最近は些細なことで喧嘩することが多くなった。
今日だって、もっとメールしろだの、他の子が優しいだの言ってきた。
そんなことを言うなら、その人とくっつけばいいんだ! って、言ってしまった。
そこからはもう覚えていない。ひどい喧嘩だったと思う。
ごめんねと、メールがはいってたけど無視してしまった。
ふて寝していたけれど、涙のあとがすごかったのでシャワーを浴びようと起き上がった。
あれ……?
起き上がって、立ち上がろうとしたはずなのに、何故か足下の感触がなかった。
ふわっとしたと思ったら、足下が急に光りだした。
何? 何? 何?
落下する。いったいどこまで?
落ちて落ちて落ちていく。
ーーー
「いたっ…ぅ……」
落ちていた時間からすると、だいぶ軽い衝撃でドスンと落下が終わった。
「ここは?」
顔をあげると見たこともない場所だった。冷たい床には大きな円と紋様?
「どこ……?」
応えるように男の人が返事をする。
「ここはライトコール。あなたはこの国に喚ばれたんだ。異世界の聖女」
異世界の聖女って? 訳がわからない。この人はいったい何を言ってるの?
「あなたの名前は?」
「
「私は、カトルと言う。よろしく、カナ」
「あの、ここは一体、私は……?」
訳がわからずに、頭が混乱する。
カトルと名乗ったこの人も、一体誰なの?
金色の髪、緑の瞳だけど、日本語で話してる――。
理解が追い付かない恐怖からなのか、がくがくと震えが止まらない。
「説明するから、落ち着いて」
そっと、優しく抱き締められた。
あの、私、彼氏がいるんだけど。そうだ、まだタツミに謝ってない。
そのことに気がつき慌てて、カトルから離れ制服のポケットから、スマホをだす。画面は喧嘩したところで止まったままだ。
「カナ?」
どうしよう、ここ圏外だ……。
誰にも繋がらない。私、どうしたらいいんだろう。
◇◇◇◇◇あとがき◇◇◇◇◇
このお話しはリサの物語ではなくカナの物語です。リサ本編だけでも楽しめるように書いているつもりですが、カナの物語を覗くことでリサの世界をまた違う形で感じてもらえるといいなーと、いう思いで書いています。
もし、こちらから読みだしたという方は本編【私は聖女じゃない?じゃあいったい、何ですか?】も一度目を通していただけると嬉しいです。それでは!
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