東方地域【結晶洞窟】女魔王パール・ソネット編 〔科学召喚&幽体転生〕
夢見の螺旋書架にて①
異界大陸国【レザリムス】北方地域──常冬の世界。
粉雪が舞う日差しの雪原を、小山のように巨大なモノが移動していた。
歩くたびに、足音が雪原に響き針葉樹に凍りついた積雪が落ちる。
二脚歩行する『城の巨人』──尖搭や城壁が肩や頭部や胸にある。
からくりで変形して、移動可能になった城巨人の内部にある『螺旋書架』
ペチカで暖まった書架の床に置かれたテーブルの上には、積み上げられた書籍があり。
椅子に座ったスレンダーな体型の成人女性が、腸詰めソーセージの入ったカップスープを飲みなから読書をしていた。
首にフワフワの白いファーを巻き、雪のような白銀のフイッシュテール・スカート〔バックの方の丈が長い前後非対称のスカート〕を穿いた成人女性は、こちらにいる者の存在に気づき。
読んでいた書物を閉じると、レンズの下半分にフレームがあるメガネ〔アンダーリム・メガネ〕を外し微笑む。
「あら、アチの世界からの夢見のお客さんですかペン? たまに、この『
焼菓子はどうですか? いらないですかペン? では体が温まる、雪上にいる雪トドの肉を加工した腸詰めソーセージのボルシチスープでも……それもいらないですかペン とりあえず、立ちっぱなしも疲れますから椅子に座ってくださいペン」
魔女皇女のイザーヤ・ペンライトの近くに浮かぶ、雪の結晶飾りがついた生きている
ペンライトは、カップのスープを一口飲むと、中に入っている腸詰めソーセージをフォークで刺して口に運ぶ。
横目で夢見の者からの質問を受ける、イザーヤ・ペンライト。
「えっ、あたくしの語尾変ですかペン……これは北方貴族に個別に与えられる、幸福の祝福語尾ですわ……ペン。
あたくしの、お父さまの語尾は『モー』
お母さまは『ニャー』
妹は『プー』とか『ブー』です……えっ!? この城巨人と螺旋書架についての質問ですか」
ペンライトが見上げる螺旋階段がある、円筒書架の高い天井にも書籍が並べられていた。
さらに科学の力で、空間にも本棚が浮かんでいる。
膨大な書籍量の私設図書館だった。
「幾世紀に渡って集められた蔵書ですペン……あたくしの知識の源ですわペン。
あたくしがいる城が変形するアイデアの素はこれですペン」
そう言って、ペンライトが見せたモノにアチの世界で夢を見ている者は目を丸くする。
ペンライトがテーブルの上に置いたのは、アチの世界の戦隊特撮番組で登場する、巨大変形ロボットだった。
「ふふっ……驚きましたか、意外なモノを北方地域で見せられて。
異界大陸国レザリムスは東方地域の『デジーマ島』が流通拠点となって、アチの世界との交流が盛んですが。
他の地域にも、アチの世界の文化は伝わっておりますのよペン……あたくし、この変形人形に深くイマジネーションを受けて、城が巨人に変形して移動可能な城巨人に作り替えましたのよ……ペン」
イザーヤ・ペンライトは、テーブルの上に積まれていた書籍の中から一冊の本を科学力で引き出した。
「あたくし、本来得意なのは氷の科学ですの氷の魔力と周囲には伝えていますが。
実は科学も進歩すれば魔法と変わりませんわ、このコトは秘密ですよ魔法と言っておいた方が都合がいいのでペン……
せっかく来ていただいたので、目覚めるまでの間、何かお話ししましょうかペン……これなんか、ちょうどいいですわね……東方地域の女魔王『パール・ソネット』に関する、ちょっと不思議な家族の物語ですわ……ペン」
書物のページが勝手に開き、東方地域の魔勇者に追放された。
女魔王『パール・ソネット』の物語がはじまった。
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