指導員として心がけたこと


筆者が指導員として最も心がけたことは、子どもたちに対して威圧的な態度をとらないことでした。


言うことを聞かなくても、サボっていても、決して怒鳴ったりはしません。命令口調にならないよう、普段の言葉遣いにも注意しました。


なぜなら、筆者の性格もありますが、その役割は支部長先生が担っていたからです。


支部長先生に加えて筆者までそういう態度で接してしまったら、子どもたちは「ああ、空手家とはこういうものなんだな」と思い込んでしまいます。

筆者はそれが気に入りませんでした。


温厚な空手家もいる。

それを知ってほしかったのです。



ただし、威圧的であることと厳しいことは別です。

練習内容に関しては、支部長先生よりも筆者の方が確実に厳しかったと言い切れます。


何が厳しいかと言えば、単調で地味な基礎練習をひたすら繰り返させるのです。初心者にはそれが一番大事だからです。


それに対し、支部長先生は子どもたちを飽きさせないよう様々な工夫をしていました。本気で武術に取り組んでいる人から見れば、半分お遊びと言われても仕方のない内容だったでしょう。


表面上は厳しく練習内容は甘い支部長先生。

表面上は甘く練習内容は厳しい筆者。


なんともちぐはぐな感じはしますが、ちょうどそれでバランスが取れていたのも事実です。



付け加えておくと、支部長先生も普段は温厚な人でした。指導のために、あえて嫌われ役を演じていただけです。

それはそれで立派なことだとは思いますが、どうしても見習う気にはなれませんでした。


なぜなら、威圧することで緊張感を持たせる指導方法が本当に正しいのかどうか分からないからです。


何が正しいのか分からない時は感情に従って行動する。

やりたいようにやる。

やりたくないことは無理にやらない。


それが筆者の生き方です。



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