現代空手は迷走しているが、おかしくはない


さて、ここまでの記事で、現代空手が本来の武術とはずいぶん違う方向に迷走していることがお分かりいただけたかと思います。


筆者はこのことに気付くのに10年以上もの月日を要しました。そして、この迷走をなんとか止められないものかと考え、無用な波風を立てない範囲で行動もしました。しかし、たった一人の力ではどうにもならないという結論に達し、道場をやめることにしました。


それから数年。

現代空手は相変わらず迷走を続けているようですが、筆者の考え方は変わりました。

現代空手は迷走しているが、おかしくはないと感じるようになりました。


なぜなら、それが人間だからです。


そもそも空手に限らず、人間社会自体が有史以来ずっと迷走し続けています。絶対的に正しい道など誰にも分かりません。誰も彼もが、ワケも分からず、とりあえず正しいと感じた道を歩いているのです。

そう考えれば、今の空手の有り様は実に人間らしいとも言えます。


武道の道とは、人間が思い描く理想の道です。

しかし、人間はその道を実際に歩むことはできません。人間の理想は、人間の能力を遥かに超えているからです。


・競技人口を増やそうとすれば、武の本質を失い形骸化する。


・武の本質を守り通すには少数精鋭の道を選ぶしかなく、後継者不足に悩まされる。


これが人間の能力の限界です。

空手は前者を選んだために今のように変貌しただけのことです。

だから、何もおかしくはないのです。

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