第335話  ダンとソルナ 心通わせる(16年前)

「おはよう ダン!」


「おはよう ソルナ!

よく眠れたかい?」


「ええ ありがとう!」


「朝ごはんの準備が

できているけど食べるかい?」


「頂くわ!」


ダンとソルナは

井戸の水の出会いをきっかけに親しくなり

ソルナは ダンの家の 

小さな納屋を 仮宿とし

暮らするようになっていた


「ソルナ!

お腹がだいぶ 大きくなったね?

もうじき 生まれてくるのでは?」


「ええ そうね!

とても楽しみだわ・・」

ソルナは優しい眼差しで

大きくなったお腹を摩っていた


「ソルナ・・

前から気になっていたのだけど

聞いてもいいかい?

もし答えにくい事だったら

話さなくても いいから・・・」


「何でも 聞いて!

答えられる事は 

正直に話すつもりよ!」


「ソルナ!

君はどこから来たの?」


「大陸カインよ!

ここからずっと遠い

最果ての大陸よ!」


「大陸カイン?

伝説の大陸だと聞いた事があるけど

本当に存在したの?

君はそこの出身だというの?

何故?この辺境の村まで やってきたの?」


「それは・・ごめんなさいダン。。

まだ言えないの・・・」


≪人には言えない特別な事情があるのだな・・

これ以上聞くのは辞めておこう・・≫


「ダン!

あなたは創造主なる神を信じている?」


「創造主なる存在とは・・

この世界を創ったお方かい?

詳しくは分からないけれど・。

妖精族が関わっていると聞いた事がある


隣町のガデムの村に

妖精族の守護者様がおられ

まだ会った事はないけど

素晴らしい人格者だと聞いている


そして噂で聞いたのだけど

時代が荒む時、伝説の巫女様が誕生し

こ妖精族の守護者達を率いて

人々を悪の存在から守り

約束の伝説の大地に導いてくださる!

約束の大地こそ最も素晴らしい

ワールドの世界が存在しているのだと・・


そんな素晴らしい大地があるなら

神がおられる証拠だと思う!


だから僕は神を信じている!

それは自然な感情と言えるのではないかな?


だって 素晴らしいじゃないか!

この村は自然以外何もないけど

大地が息づいている!


この世界が偶然にできた産物とは

僕には思えない!

神が創造された世界だと 信じている!


だから 僕も神を信じているよ!」


「ダン!

素晴らしいわ!

そこまで強い心を持った人は見たことないわ!」

(だから神は私を・・この地に・・)


「ソルナ!

僕の両親は、2年前に事故で死んだ

すごく悲しく 最初は受け入れられなかったけど

もし天国があるなら 僕の両親は

そこで 僕を見守ってくれていると

信じているよ!」


「ダン! 

あなたは辛い経験をたくさん

してきたのね?


人の痛みを知っている

だから人に優しくできるのかもしれないわね!」


「ソルナ・・・」


「私達・・・友達になれるかしら?」


「勿論だよ!ソルナ!」


「それより お腹の父親は?

なぜ一緒ではないの?」


「この子の父親は 

天国で私とこの子を

見守ってくれているわ!」


「亡くなられたの?」


「・・・・・

ごめんなさい!

これ以上は・・・話せないの・・

ダン!お願いがあるの

出産するまで あと10日くらい

あなたの小屋を 

もうしばらく貸してくれないかしら?」


「もちろんだよ!

いつまでも ここにいていいんだよ!

君に危険が及ばないように

僕が守るから!安心して!」


「ありがとう!心強いわ!」


「それと後ひとつ気になる事が・・

君がこの村に来た時 確か

数人 従者がいたと思うけど

どこにいったの?」


「えっ? それは・・

ガデムの村の妖精族の守護者に

会いに行ったのよ!


私の遠い親戚にあたる人だから」


(私にもしもの事があった時の為に・・・)

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