第292話 アポリュオン『神との対話』①

アポリュオンは倒れ

暫く意識を失っていた・・


すると起源の存在:神が

アポリュオンの魂に

直接かたりかけてきた・・・


『我が子!アポリュオンよ!

巫女が命をかけた

『神の命の実』の口づけにより


2000年前受けた

『善悪の知識の木』による呪いから

完全に解き放たれた!!!!


『人は必ず死ぬ』

死は決して避けられない!

その事が分かるか?」


アポリュオンは

懐かしい神の声に意識を取り戻した・・


「私に語りかけるのは・・神か?

≪人は必ず死ぬ?≫

死が恐ろしい・・

私は死にたくはない・

死ぬことを分かっていて何故?

生きる必要があるのか?」


「アポリュオンよ!

生きる意味が・・・本当に分からないのか?


お前もかつては

初代巫女に準ずる

聖なる心を持っていたではないか?


悪魔の支配が

お前をそこまで狂わせてしまったのか?


お前にも残っている筈だ!

神を求める心と

罪を犯したものが感じる

神への懺悔の気持ちを!!」


アポリュオンは

『神の命の実』を得たことで

原罪・・の罪を意識できる心

そして神を求める心・・・

本来の性質・・優しい少女の心が芽生え始めていた・・


「アポリュオンよ!

2000年間犯してきた

全ての罪を! 

悔い改める気持ちはあるか?


人は誰もが 死ぬ運命にある!

しかし長く生きると

傲慢になり・・堕落しやすい

だからこそ

人は幼子のような素直な心で

神を求めることが

いかに大事であるか・・


アポリュオン!

お前にそれが分かるか?」



「・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・」

アポリュオンは起源の存在:神の言葉に

返す言葉がなかった・・


2000年前

自分勝手な行為により

姉を裏切り・・悲しませた

神に反逆したこと・・


私は・・・間違っていた事を・・

素直に認めるべきこと・・だと思う


しかし

私は自分がこれまで神に反逆してきた事は

自分の意志で行ってきたこと・・


人類を混乱させることを

悪に生きることに 快感を感じる!

悪を求め 悪に生きたい願望が残っている

自分の人格形成が

悪根の支配によるものが大きいからだ!!


この世は弱肉強食だ!

強者が支配し

弱者を収める・・全ての人間が

自立して生きられる訳ではない!


全ての人間が強くはないのだ!


生きるためには嘘もつき

人を騙し・・時には楽して生活したい

それが人の本音ではないか?


真面目に生きることだけが人生ではない!

私は傲慢で強欲で

怠惰な人間を多く見てきた


彼らは欲望を満たすためなら

手段を選ばなかった

何故、この世に戦争が耐えないのか・・


それは人の根底に悪があり

欲望を満たしたい!

願望が強いからではないか!!


人と人が助け合う?

それは幻想に過ぎない・・

巫女が100人も200人もいたら

この世から戦争が無くなると・・本当に思っているのか?


神が人を創造し

命を与えたのなら

最後まで責任を持つべきだ!


人が全うに生きる為に!

何故悪者をのさぼらせているのだ・・


罪を犯さないように

神に反逆しないように

人を作れば良かったではないか!!」


アポリュオンは

神に敵対する言葉を発した後

胸を酷く痛めた・・


「この感情は?

・・・・・・・

・・・・何!?」


「アポリュオンよ!

かつて初代巫女が誕生する前・・

私はこの世が悪に満ちた世界に絶望を感じた!


それで滅ぼすことを決めたのだ!



しかしひと家族

正しい者たちがいた


私は彼らの為にも・・

この世界を残そうと決めたのだ!

私は正しい者も悪に生きる者も

等しく愛しているからだ!!」

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