第89話 王族の身代わり3

■□■◆◇


その頃、2階に避難した

クリス王子とエルサ王女は

マスターから身代わりに

名乗り出た少年と少女が

実は、葵巫女とラックであった事を知り

唖然としていた・・・


「何て事だ!

何故葵巫女様が

エルサの身代わりなどに!どうして・・・

それにラックという少年は誰だ?」


「知らないのですか?

葵巫女様は人一倍正義感が強い方だ!と

そしてラックとは

将来の勇者として注目されており

リムラ村を救済した

第一の功労者としてアダム皇帝より

表彰された人物です!」


「そうなのか・・

ただの少年に見えたが

今回身代わりを名乗り出た事でも

彼の勇気が感じられた・・・」

側で聞いていたエルサも深く頷いていた


「クリス王子!

今回人質事件を起こした奴らが要求している

利息規制法の改正案は

誰の提案だと思うのですか?」


「詳しくは知らないが・・・

先程、王都議会で

過去に前例がない早期法案成立がなされたと

都内ではもっぱらの噂になっている!

慎重派である父を

説き伏せるとは・・よほど優れた人物が

議会にいるのだろう!

是非お会いしたい!と

思っていた所だ・・・


実は、今回王宮を離れ

市街地を訪れた一番の目的は

早期法案成立に私は深く感銘したからだ!

そしてじっとしておれなくなり・・・

都民の抱えている問題を

肌で感じたい!

そう思い情報通と名高い

オーナーの店に行こうと!

執事と妹を連れ、やってきたのだ!


しかし浅はかな行動が原因に

このような騒動に発展してしまうとは・・・

本当に・・申し訳なく思っている!

すまない・・・・」


「クリス王子!

今話されたすべてのキーマンは

葵巫女様です!

そして8000人の借財返済の為に

アダム皇帝から授かった報奨金を

全て捧げた人物こそ

ラック少年なのです!」


「マスター!

何故そこまで情報を知っているのだ?」

(流石だな・・・

しかし情報収集が早すぎるのでは??)

それより私とエルサ王女の為に

身代わりに人質になるなど

あってはならない事だ!

すぐに彼らを助け出さなくては!!」


「行くぞ!

ダンテ執事!!

命をかけて葵巫女様とラックを

お救いに行くぞ!!!」


「クリス王子!

それはなりません!

葵巫女様とラックに

お任せされた方が良いのでは?


それに今回の人質事件は

王都にも伝わっている筈!

すぐに救出の為の

軍隊が派遣される事でしょう!

しばらくここで待機していた方が良いのでは・・・」


「何を言うのです!

私達は王族です!

私達の身代わりに

葵巫女様とラックを危険な目に

合わせてはなりません!!

さぁ!お兄様!参りましょう!!!」


「ああ・・・」

(臆病なエルサがどうして・・)


エルサ王女も

葵巫女とラックの勇気ある行動に

感銘を受けているようだったが・・

無謀な勇気が湧いているようだった・・


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