第28話
決勝を明日に控え貴族用の貸家で一番豪華な家の大広間にヒュージ、ジュデ、キュリー、リンナ、フィンそして家主のリンが集まり、片膝をつき
それもそのはず、目の前には、魔族国ファリャと王国ヒュリャの王が座っていた。
※鎮座を使うべきだと思いましたが、調べた結果。
人や物がどっしりと場所を占めていることを、多少揶揄(やゆ)の気持ちを込めていう語。
《多少揶揄を込めている》と出たので、使いませんでした。
「報告は受けている、首尾は万全かね?」
ヒュリャ王国の王が訪ねる、それに対しリンが答える。
「はいお父様、既に打ち合わせ道理に事は進んでおりますわ。」
「黒幕について何か情報は入ったのかね?」
「残念ながらまだ何も掴めておりません。」
「ふむ、我々の方も物的証拠までは掴めておらぬからな。」
「と言う事は心当たりが?」
「あぁ、腹違い弟が裏で糸を引いている様だ。」
「あのお方ですか。」
王国内で王の腹違い弟の評判は悪い、豪遊、女癖の悪さは当たり前、闇市場や教会をも裏で操っている、との噂まであり闇の王とまで言われているが物的証拠が出てこない。
「そちらも苦労してますな。」
魔族国ファリャの王が割って入った。
「そちらもですかな?」
「うむ、我の方はアーシャが疑わしいがな。」
「アーシャ殿は貴殿の第4番の奥方でしたな。」
「いかにも、ヒュージ以外の男子を産んだのはアーシャであるからな、我とヒュージが邪魔であろうな。」
王国、魔族国共に男子にしか王位継承権が無いく、ヒュージは正妻の子で第一王位継承者を、次の男子はアーシャ子で第二王位継承者となっている。しかもアーシャの出里は戦争時代に暗躍した部隊を指揮していた為、今でも魔族国に対し大きな権力を持っている。部隊は表向きには解散しているが、何人か姿を消し今も行方知れずになっている。
「なるほど、今回はいい機会だと言う事か。」
「うむ、だが証拠がない。」
「掴めると良いが、多分無理であろうな。」
「であろうな、簡単に尻尾を出すような輩ではないからな。」
「全く困った者だ。」
「同感ですな。」
「父上、その二人が裏で手を結んでいるとお考えですか?」
ヒュージがもしもの話をするが。
「アーシャであれば結べるであろうな。」
「こちらも結んだ方が利が大きいであろうな。」
と、二人して否定をしなかった。
「おっと、忘れるところであった、ヒュージとジュデよ、近こう寄れ。」
二人が各王の1m前まで行くと。各王は何かを取り出した。
「ジュデよ、これを持って勇者の責務を果たせ。」
王国の王がネックレスをジュデの首に掛ける、ネックレスの先には剣をモチーフとしたペンダントトップが付けられていた。
「は!この聖剣ウエポンに掛け責務を果たします!」
その横では、魔族国の王よりヒュージに指輪が渡された。
指輪には髑髏の装飾に大きく開いた口の中に赤黒いガーネットがはめ込まれていた。
「魔剣シュリンガーに掛けお二人をお守りします。」
こうして決勝を迎えるのだった。
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