622話 タカシの最新ステータス

 ミリオンズの会議を開いている。


「最後は俺だな。知っての通り、雷魔法と重力魔法を取得し、それぞれレベル3にまで伸ばしている」


「ふふ。タカシもようやく雷魔法の強さに気付いたんだね。嬉しいな」


 モニカがそう言う。


「ああ。雷魔法はなかなか便利な魔法だよ。特に『パラライズ』の使い勝手がいいな」


 殺傷能力はさほどない代わりに、敵をマヒさせる効力がある。

 俺がメインとしている火魔法と比べて、人相手にも比較的撃ちやすい魔法だと言えるだろう。


「重力魔法はマリアとお揃いだねっ!」


「そうだな。ジェイから購入した『魔法の絨毯』は便利なんだが、万が一の落下が怖いから取得したんだ」


 重力魔法が使えれば、高所から落下しても無傷で着地できる。

 少し前のクリスティとの一件で立証済みだ。

 また、他者に掛けても同様の効力を得られるだろう。


 ミリオンズの中で、アイリス、モニカ、ユナ、マリア、蓮華あたりは身軽であり、高所からの落下にもある程度は自力で対応できる。

 また、ミティとニムは身体能力が高い上、それぞれ風魔法と土魔法を使える。

 高所からの落下で重傷を負うことはないだろう。


 懸念があるとすれば、サリエとリーゼロッテだ。

 サリエは治療魔法、リーゼロッテは水魔法に特化しており、高所からの落下に対応し切れない可能性がある。

 そこで役に立つのが、俺の重力魔法というわけだ。

 モニカの『青空歩行』、マリアの重力魔法あたりと合わせて、万が一のフォロー態勢はばっちりである。

 まあ、そもそも俺が魔法の絨毯の扱いを間違えなければいい話なのだが。


「後は、聖闘気術をレベル2に、植物魔法をレベル2に伸ばしている」


「タカシは武闘でもどんどん強くなっているよね。ボクが休んでいる間に、ひょっとしたら抜かされちゃったかな?」


「いやいや、アイリスの技巧の技は凄まじいものがある。まだまだ俺は及ばないよ」


「そうかな?」


「ああ。出産が無事に終われば、またいろいろと勉強させてもらおう。もちろん、育児も大事にしながらだけどな」


 優しいアイリスなら、子どもも優しく育ちそうだ。

 俺の言葉を受けて、彼女は嬉しそうに微笑む。

 そんな俺たちのやり取りを見つつ、サリエが口を開く。


「植物魔法は私と同じですね。火魔法の攻撃力や土魔法の防御力には劣るでしょうけど、それでも十分強いですよ」


「俺もそれは感じている。まだレベル2だが、いずれはもっと伸ばしてもいいかもしれない」


 俺は持っているレベル5のスキルは4つ。

 剣術、火魔法、水魔法、魔力強化だ。

 ステータス操作では今のところレベル5が最高なので、これ以上伸ばせない。

 現状よりも戦闘能力を伸ばそうと思えば、必然的に何か別のスキルを伸ばすことになる。

 その際の方針は、主に3通り考えられる。


 1つは、基礎ステータスや五感を強化する系のスキル。

 腕力強化を伸ばせば剣術や格闘術における攻撃力が増すし、MP強化を伸ばせば魔法の発動可能回数が増す。

 視力強化を伸ばせば敵の動きを見極める力が増すし、聴覚強化を伸ばせば足音などから敵の動きを予測することも可能になるかもしれない。


 次に、戦闘を補助するタイプのスキルだ。

 回避術、気配察知、高速詠唱などを伸ばせば、間接的に戦闘能力が増す。


 最後に、他の戦闘技巧系スキルや魔法スキルだ。

 俺は火魔法や水魔法の他に、風、土、植物魔法も取得している。

 瞬間最大攻撃力という点では、火魔法をレベル5にした時点で1つのゴールに辿り着いてしまっている。

 しかし、相手や状況に応じて魔法を使い分けることができるようになれば、対応力が増す。

 器用貧乏になるリスクはあるが、いろいろな魔法に手を出してみることは決して悪いことではないはずだ。


「俺が伸ばしたスキルは、こんな感じだな。何か気になることはあるか?」


「う~ん……特にはないかな? 領地の開発も順調みたいだし、明確な心配事はないよね」


「無事に出産できたら、ボクもいろいろと頑張るよ」


 モニカとアイリスがそう言う。


「もちろん私もです! ……ですが、1つだけ気になる点があります」


「ん? なんだ? ミティ」


「新しいミッションは出されていないのでしょうか?」


 俺は、この世界に来てからミッションを行動の指針としてきた。

 報酬は豪華だし、従わない理由は基本的にない。


「今は出ていないな。俺たちがいいと思う方向に行動すればいいのだろう」


「承知しました! では、まずは愛する子どもの出産に集中します!」


 ミティがそう意気込む。

 ハイブリッジ家の発展や世界滅亡の危機の回避も大切なことだが、自分自身やその家族の幸福もそれと同じかそれ以上に大切なことだ。


「ふむ……。拙者からも一ついいでござるか?」


「もちろんだ。何かあるのか? 蓮華」


「そのみっしょんとやらで、拙者の大和連邦のことが取り上げられる可能性はあるのでござろうか?」


「そうだな……」


 俺は少し考え込む。


「可能性はあるだろうな。今までも、『ゾルフ砦の防衛に加勢しよう』や『ガロル村を訪れよう』というミッションが出たことがある」


「なるほど」


「しかし、過信は禁物だ。何か困りごとが発生していても、ミッションでは触れられないことも多いからな。基準が分からないから、こちらとしては受け身にならざるを得ない」


「それは確かに。では、拙者は拙者で大和連邦の情報を集めておくでござる。まだしばしの猶予はあるはずでござるが、油断はできぬからな」


 蓮華の故郷の件か。

 まだ詳しくは聞いていないが、何やらキナ臭い動きがあるらしい。

 ミッションで指示されたら、ヤマト連邦に向かうことに否やはない。

 ミッションがなくとも、今やミリオンズの一員である蓮華にはできる限り力になってあげたいところだ。


「情報共有はこれぐらいにしておこう。みんな、これからもよろしく頼む」


「はい!」


「まずは無事に出産したいね」


「ふふ。楽しみだよ」


 ミティ、アイリス、モニカがそう言う。


「わ、わたしは合同結婚式が楽しみです」


「ふふん。ドレッドやジークも呼んでいるし、盛大に祝ってもらうわ」


「マリアのパパとママも来るよっ!」


「私の父も来ます。手土産も持ってきてくれるはず……」


「わたしくのお父様たちも、おいしい食材と持参してくれるでしょう」


 ニム、ユナ、マリア、サリエ、リーゼロッテがそう言う。

 こうして、ミリオンズの会議は終わったのだった。




レベル30、タカシ=ハイブリッジ

種族:ヒューマン

身分:騎士爵

役割:リーダー

職業:魔法剣士

ランク:B

二つ名:”紅剣”のタカシ

ギルド貢献値:1億7000万ガル

HP:272(209+63)

MP:411(137+274)

腕力:276(120+36+120)

脚力:265(115+35+115)

体力:294(128+38+128)

器用:161(124+37)

魔力:520(130+390)


武器:紅剣ドレッドルート

防具:オリハルコンアーマー

その他:光の精霊石


残りスキルポイント0

スキル:

ステータス操作

スキルリセット

加護付与

異世界言語

剣術レベル5

格闘術レベル3

回避術レベル3

気配察知レベル2

気配隠匿レベル2

視力強化レベル1

聴覚強化レベル1

MP強化レベル4

腕力強化レベル2

脚力強化レベル2

体力強化レベル2

魔力強化レベル5

肉体強化レベル3

闘気術レベル4

聖闘気術レベル2

火魔法レベル5「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード、ボルカニックフレイム、火魔法創造 “三百本桜” ”フレアドライブ” 他」

水魔法レベル5「ウォーターボール、アイスボール、アイスレイン、ブリザード、水魔法創造」

風魔法レベル3「エアバースト、エアリアルスラッシュ、ジェットストーム」

土魔法レベル2「ストーンショット、ロックアーマー」

雷魔法レベル3「スパーク、パラライズ、ライトニングブラスト」

植物魔法レベル2「ウッドバインド、ブランチスピア」

重力魔法レベル3「レビテーション、グラビティ、ゼログラビティ」

聖魔法レベル4「ウィッシュ、ホーリーシャイン、セイクリッドチェーン、パニッシュ」

治療魔法レベル4「キュア、ヒール、エリアヒール、リカバリー」

空間魔法レベル3「アイテムボックス、アイテムルーム、転移魔法陣作成」

高速詠唱レベル3

MP消費量減少レベル4

MP回復速度強化レベル2

精力強化レベル1

夜戦術レベル1


称号:

犬狩り

ホワイトタイガー討伐者

ジャイアントゴーレム討伐者

オーガ・ハーピィの盟友

ガルハード杯ベスト16

ミドルベア討伐者

霧蛇竜ヘルザム討伐者

メルビン杯ベスト8

キメラ打倒者

ブギー盗掘団捕縛者

ゴブリンキング討伐者

聖騎士ソーマの盟友

古代アンドロイドのご主人様

アヴァロン迷宮踏破者

ファイアードラゴンの友

民に寄り添う心優しき騎士爵

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