199話 1回戦の結果の整理

 メルビン杯の続きだ。

俺たち5人の試合は終わった。

それぞれ勝ちを収めることができた。


 1回戦最後の第8試合は、ジルガが登場した。

ムキムキのおっさんである。


 対戦相手はエルメア。

少しめずらしい女性の武闘家だ。

どうやら初級の武闘家だったようである。

あっさりとジルガに負けていた。


 ジルガの力量は確かだ。

前回のガルハード杯1回戦では、アイリスに勝っていた。

2回戦ではミティに負けていたが、あれはジルガが正面勝負にこだわったためだ。

ジルガがからめ手を使っていたら、ミティに勝っていた可能性もあっただろう。


 さて。

これで、1回戦の試合全てが終了した。

勝者を○、敗者を×と表記して試合結果をまとめてみよう。



○Aブロック1番、タカシ。

×Aブロック2番、ミッシェル。

○Aブロック3番、アイリス。

×Aブロック4番、ババン。


○Bブロック1番、ミティ。

×Bブロック2番、レナウ。

○Bブロック3番、エドワード。

×Bブロック4番、ギムル。


○Cブロック1番、モニカ。

×Cブロック2番、ハルトマン。

○Cブロック3番、ギルバート。

×Cブロック4番、カルロス。


○Dブロック1番、ニム。

×Dブロック2番、ビリー。

○Dブロック3番、ジルガ。

×Dブロック4番、エルメア。



 2回戦は、次の4試合となる。

タカシvsアイリス。

ミティvsエドワード。

モニカvsギルバート。

ニムvsジルガ。


 2回戦に残った8人中5人が俺たちミリオンズのメンバーだ。

これ以上ない結果と言えよう。


 他の3人は、知った仲の人ばかりだ。

強敵ぞろい。

心して2回戦に臨む必要がある。


 だがその前に、食事休憩だ。

1時間ほどの休憩時間が設けられている。


 俺、ミティ、アイリス、モニカ、ニム。

5人で近場の飲食店に向かう。

店内に入り、席に着く。

あまり食べすぎると試合に影響するかもしれない。

少なめに料理を注文する。


 しばらくして、料理が運ばれてきた。

食べ進めながら、雑談をする。


「あらためて。無事に全員が1回戦を突破できて、よかったな」


「そうですね! 1回戦で私たち同士がぶつからなかったのもよかったです!」


 ミティがそう言う。

確かに、1回戦では俺たちミリオンズが見事にバラけた。

くじ運がよかったと言えるだろう。


「でも、2回戦ではボクとタカシが闘うことになるね」


「そうだな。お手柔らかに頼むよ」


 俺はそう言う。

あまり勝つ自信はない。

彼女の武闘における戦闘能力は半端じゃないからな。

この1か月の鍛錬により、さらに実力を伸ばしているし。


 しかし、俺もただでやられるつもりはない。

前回のガルハード杯本戦での余興試合では、接戦の末に俺が勝った。

その闘いの前後で、アイリスの忠義度は大きく上がっていた。

 

 加護を付与済みである今は、彼女の忠義度を確認することができない。

加護付与やステータス操作という観点からは、彼女の忠義度を稼ぐ必要性はない。

ただ、忠義度は好感度と似たような側面を持つ。

今回もがんばって勝てば、アイリスの友好度がさらに上がるかもしれない。


「そ、そういえば。タカシに言いたいことがあるんだけど……」


 アイリスが緊張した面持ちでそう言う。

彼女がこういった表情をするのは少しめずらしい。


「なんだ?」


「……んー。やっぱりいいや。試合のときに言うよ」


 アイリスが歯切れ悪くそう言う。

少し気になるが、試合のときに話してくれるのであればそれを待つことにしよう。


 アイリスとの仲は、これまで順調に深まってきているように思う。

彼女の友好度がさらに上がれば、俺のハーレム計画が一歩進む。


 ミティと結婚できたことは間違いなくうれしいことだ。

ミティが悲しむことをするつもりはない。

……が、できればハーレム計画は進めていきたい思いもあるのだ。


 加護の対象者は、現状で5人。

ミティ、アイリス、マリア、モニカ、ニムだ。


 ミティと俺は既に結婚している。

マリアとニムはまだ幼いし、そういう話はまだ早い。

次に結婚するならば、アイリスかモニカだろう。

もちろん、彼女たちがハーレムを許容してくれるのであればだが。


「えーと。俺とアイリスは2回戦で闘うが。他のみんなの相手はだれだったかな?」


「わ、わたしの相手は強そうな男性でした。厳しそうです……」


 ニムがそう言う。


「ああ。ジルガさんだね。ボクは前回闘って、負けたよ」


「ア、アイリスさんが負けた相手ですか。やはり、わたしには厳しそうですね……」


「やってみないとわからないし、がんばろう。私もがんばるよ」


 少し暗い顔をしているニムを、モニカがそう励ます。


「そう言うモニカさんの相手は、ギルバートさんですね。彼もかなり強い人です」


 ミティがそう言う。


「えっ! そうなんだ。まあ、1回戦を見た感じ、強そうだとは思ったけど」


「冒険者ランクもCだし、確かな実力がある人だよ。でも、今のモニカなら勝てない相手ではないと思う」


 俺はそう言う。

モニカは、この1か月の鍛錬でかなり強くなった。

闘気術も使えるようになったしな。


「ボクもそう思う。……でも、ジルガさんやギルバートさんも強いけど、1番厄介なのは……」


 アイリスがそう言って、ミティを見る。


「私の相手のエドワード司祭ですね」


「確かに、エドワード司祭が一番強いかもしれないな。大変な相手だ」


「うん。1か月前のボクとの模擬試合でも、全力ではなかったように思う。ボク自身が強くなってあらためてわかったけど、エドワード司祭の実力はまだまだ底が見えない」


「せめて悔いのないように、全力を出します! あの新技も惜しみなく使うつもりです!」


 ミティがそう意気込む。


「そうだな。ミティのパワーをフルに発揮できれば、可能性はあるだろう」


 そんな感じで情報交換や雑談をしつつ、昼食を食べ進めていく。

昼からの2回戦以降、俺たちは勝ち進んでいくことができるのか。


 まずは、俺とアイリスの試合が待っている。

かなりの強敵だが、全力を出し尽くして勝ちを狙うことにしよう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る