137話 お湯はりのテストとミティとの初XX

 1週間後にユナとリーゼロッテを招いて、食事会を開く。

それが終わったら、ガロル村とやらの情報を集めて、この街から旅立つ予定だ。

この街でやれることはやっておかないといけない。


 まずは風呂だな。

この機会を逃すと、次に風呂に入れるチャンスはなかなかないだろう。


 今日は冒険者活動を休みとしている。

モニカとニムは、それぞれの自宅で過ごす。

アイリスは、ラーグの街をブラブラすると言っていた。


 俺とミティはこの家でゆっくりするつもりだ。

いい機会だし、風呂のお湯はりのテストをしておこうかな。


 風呂場に向かう。

浴槽の前に立ち、水魔法の詠唱を開始する。

もちろん、浴槽内や洗い場などは掃除済みだ。


「……ウォーターボール」


 ドッジボールぐらいの水球が生成され、浴槽中に落ちる。


「……ウォーターボール」

「……ウォーターボール」

「……ウォーターボール」


 何度も発動する。

うーん。

少しずつ溜まっているが、なかなか時間ぎかかりそうだ。


「タカシ様。水が必要ですか?」


 ミティが様子を見に来てくれた。


「そうだな。水魔法でいけるかと思ったのだが、なかなか骨が折れそうだ」


「では、私も微力ながらお手伝いしましょう。井戸から汲んできますね」


 ミティがそう言って、風呂場から出ていった。

井戸へ向かったのだろう。

彼女の力は、微力どころか豪力だ。

非常に助かる。


 その後、ミティの水汲みと俺の水魔法により、水を入れ続けた。


「よし。とりあえず水ははれたな。ありがとう、ミティ」


「お安い御用です。お役に立てたのであれば、うれしいです」


 ミティがそう言って、うれしそうな顔をする。


「では、次は水を温めてみよう。ミティは自分の部屋かリビングでゆっくりしていてくれ」


「いえ、しばらく見学しようと思います」


「そうか。見ておもしろいものでもないかもしれないが」


 まあ本人が見学すると言っているのであれば、断る必要もない。

かわいいミティが見ているとなれば、やる気も出る。


 さて。

どうやって水を温めるか。

いきなり高威力のボルカニックフレイムやファイアートルネードなどを試してみて、火事になったりしたらマズい。

まずは火魔法レベル1のファイアーボールから試してみよう。

心の中で詠唱を開始する。


「……ファイアーボール」


 火球が生成される。

火球を操り、浴槽の水の中に入れる。

すぐに火球は消えた。

ファイアーボールでは火力が低過ぎるようだ。

何度も繰り返せば温まってくるかもしれないが。

あまり効率は良くない。


 火魔法レベル2のファイアーアローも同じような結果になるだろう。

ファイアーボールよりも射程が上がる分、威力が下がった魔法だからな。


 次に試すとなると、火魔法レベル3のファイアートルネードか、火魔法レベル4のボルカニックフレイムか。

どちらも、家の中で試すのは少し怖い魔法だ。


 普通に薪を燃やして温めるか?

火魔法があるから、火種には困らないし。

しかしその場合、薪を用意する必要があるな。


 うーん。

どうしようかな。


 ……そうだ。

俺には火魔法レベル5の火魔法創造があるじゃないか。

お湯を沸かす魔法を開発しよう。

あまり強すぎるイメージだと、火事になる恐れがある。

地獄の業火とか、万象一切灰塵となせとかの詠唱はそぐわないだろう。


 適度なイメージを膨らませる。

合わせて、イメージを補強する詠唱の文言を考える。

………………。

…………。

……。

よし。

これで一度試してみよう。


「湯を沸かせ。ボイル・ザ・ウォーター」


 そこそこの炎が生まれる。

炎を浴槽の中の水に投入する。

炎が消える。


 悪くなさそうだ。

適度な火力の火魔法だ。


 しばらく続ける。

無事に温まってきたようだ。

湯気が出てきている。

湯の中に手を入れてみる。


「よし。適温だな」


「おめでとうございます。タカシ様」


 見学をしていたミティがそう祝福する。


「さっそく入ってみようかな。俺が先に入っていいか?」


「もちろんです」


 ミティと風呂場を出る。

彼女にはリビングに戻ってもらう。

俺は脱衣所で服を脱ぐ。


「風呂に入るのは久しぶりだなあ」


 感慨深い。

この世界に転移してきたのは4月1日。

今日は9月1日。

5か月ぶりだ。


 今回、お湯はりに1時間以上かかった。

ミティの水汲みと俺の水魔法による水はり。

そして、俺の火魔法による加熱。

もう少し作業内容を改善して、時間を短縮したいところだ。

そうすれば、ラーグの街にいる間は毎日のように入ることも可能だろう。


 湯につかる。

いい湯だ。

ゆっくりとくつろぐ。


「フンフフーン」


 それにしてもいい湯だ。

思わず鼻歌を歌ってしまう。


 ガラガラガラ……。

入口のほうから扉を開ける音がした。


「だれか帰ってきたのか? 今は俺が入らせてもらっているぞ」


「お、お邪魔します……」


 この声はミティだ。

入口に視線を向ける。

ミティがタオルを体に巻いて、風呂場に入ってきていた。


「!? ミティ、どうした?」


「お、お背中を流します」


 ミティのうれしい申し出だ。

しかし、さすがに恥ずかしい。

彼女も顔が真っ赤だ。


「い、いや。お気遣いなく」


「ご遠慮なさらず」


「そ、そうか? では、お願いしよう」


 俺は浴槽から出て、イスに座る。

もちろん、腰にはタオルを巻いている。


 ミティに背中を洗ってもらう。

ドキがムネムネしてくる。

違う、胸がドキドキしてくる。

なかなか力強く、心地の良い洗い方だ。


「はあはあ。タカシ様のお背中……」


「ミティ?」


 背後から何やら不穏な空気を感じる。


「もう我慢できません!」


「うおっ!?」


 ミティが後ろから抱きついてくる。

そのまま俺を押し倒してくる。


 マウントポジションだ。

完全に押さえ込まれた。

ミティの豪腕からはもう逃れられない。


「ミティ! タオルが!」


 ミティが体に巻いていたタオルがほどけている。

彼女の体があらわになっている。

彼女は背は低いが、スタイルは悪くない。

これはやばいぞ。

理性が……。


「タカシ様……。1つになりましょう」


「ミティ。こういうことは、もう少し段階を踏んでだな……」


「私は不安なのです。タカシ様の周りには、女性が集まってきます。強いアイリスさん、料理上手のモニカさん、若いニムちゃん。それに、ユナさんやリーゼロッテさんだって」


「それは……」


 やはり、ハーレムをつくられて不安にならない女性などいないということか。

ミティのケアを怠ってしまっていたかもしれない。


「私にタカシ様との絆をください。私がタカシ様の1番です!」


「ああ、もちろんだ。ミティを1番大切にすると約束しよう」


「あ、ありがとうございます!」


 ミティが抱きついてくる。

まだタオルは巻き直していない。

柔らかいものが直に押し付けられる。

先端の突起が……。

いや、考えるな。

心を無にするのだ。


「さて、ミティ。俺の上からどいてくれないか? 俺はそろそろ上がろうと思うのだが」


「……まだ続きをしていませんよ」


 ミティが獲物を見る目でこちらを見てくる。


「つ、続き? ミティ、その目はやめるんだ。せめて寝室で……」


 がんばって抵抗しようとするが、ミティの豪腕には逆らえない。

俺の腰のタオルが剥ぎ取られる。


「タカシ様。だいじょうぶです。私も初めてですが、優しくしますので」


「アッー!」


 ………………。

…………。

……。


 この日、俺とミティは1つになった。

雰囲気も何もあったものではないが、まあヨシとしよう。

ミティのことを大切にしていかなければならないと、改めて決意した日になった。




レベル17、タカシ=ハイブリッジ

種族:ヒューマン

役割:リーダー

職業:魔法剣士

ランク:C

HP:127(98+29)

MP:160(64+96)

腕力: 97(53+17+27)

脚力: 90(50+15+25)

体力:133(58+17+58)

器用: 73(56+17)

魔力:120(60+60)


武器:紅剣クリム

防具:アイアンアーマー、アイアンシールド


残りスキルポイント15

スキル:

ステータス操作

スキルリセット

加護付与

異世界言語

剣術レベル4

格闘術レベル1

回避術レベル2

気配察知レベル2

気配隠匿レベル1

視力強化レベル1

MP強化レベル3

腕力強化レベル1

脚力強化レベル1

体力強化レベル2

魔力強化レベル2

肉体強化レベル3

闘気術レベル3「開放、感知、集中」

火魔法レベル5「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード、ボルカニックフレイム、火魔法創造 “二十本桜” “バーンアウト””ボイル・ザ・ウォーター”」

水魔法レベル1「ウォーターボール」

風魔法レベル1「エアバースト」

聖魔法レベル1「ウィッシュ」

治療魔法レベル4「キュア、ヒール、エリアヒール、リカバリー」

空間魔法レベル3「アイテムボックス、アイテムルーム、転移魔法陣作成」

高速詠唱レベル1

MP消費量減少レベル2

MP回復速度強化レベル1


称号:

犬狩り

ホワイトタイガー討伐者

ジャイアントゴーレム討伐者

オーガ・ハーピィの盟友

ガルハード杯ベスト16

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