133話 ゴーストの浄化の準備

 ロダンから中古の住宅をもらった日。

さっそく今夜、ゴーストの浄化のために張り込む予定である。


 その前に、ゴーストについて情報共有をしておきたい。

アイリスは何か知っていそうだしな。


「ゴーストか。俺は見たことがないな」


「私も見たことがないです」


 ミティがそう言う。


「ボクはあるよ。教会の仕事で浄化したことがある。とは言っても、低級のゴーストだけどね。ボクは初級の聖魔法しか使えないし」


 アイリスがそう言う。

ゴーストにも低級や上級があるわけか。


「ん? ということは、今回のゴーストが中級以上ならやばいんじゃないか? 聖魔法はアイリスしか使えないし、そのアイリスだって使えるのは初級までだし」


 アイリスがダメージを受けたりMP切れになったりしたら、ゴーストに対処できる人がいなくなってしまう。


「確かに、中級以上なら困るね。でも今回のゴーストはイタズラぐらいしかしないって話だし、低級なんじゃないかな」


「そうかな。そうだといいんだけど」


 少し不安だな。

アイリスは結構楽観的な性格だ。

俺がしっかりしないと。


「そんなに不安なら、ボクの聖魔法を強化しておいてもらおうかな」


「いいのか?」


 アイリスの聖魔法は、現状はレベル1。

レベル2に上げれば、より強力な聖魔法が使えるようになるだろう。

ただし、もちろん強化にはスキルポイントを消費する。

聖魔法を強化すると、その分他のスキルの強化ができなくなる。


「今後武闘神官見習いの卒業を狙うにあたって、アピールポイントになるしね。いずれ強化したいとは思っていたんだ」


「ありがとう。助かる」


 アイリスが聖魔法を強化してくれるなら、不安要素は大幅に減る。

さらに不安要素を減らすためには……。


「そう言えば、俺が聖魔法を取得するのもありなのか?」


 アイリスの聖魔法を強化すれば、より強力なゴーストにも対処できる。

一方で、聖魔法を使えるのがアイリス1人だけという状態は変わらない。

まだ少し安定感に欠ける。


「聖魔法の取得には、信仰心が必要だよ。信仰対象は、必ずしも聖ミリアリア様ではなくてもいいらしいけど」


「信仰心、か」


「タカシは神様を信じているの? このあたりには無神教の人も多いって聞いているけど」


「どうなんだろう? 信じていないわけではないな」


 信じられるのは自分だけ、なんて傲慢な考えは俺にはない。

まあ日本人らしくほぼ無神教ではあるが。

神を全否定するほどの強固な考えを持っているほどでもない。


 俺はこの世界への転移を実際に経験した。

まあ、ふと気がつくと見知らぬ草原に立っていただけだが。

俺をこの世界に転移させ、ミッションを設定するような超常の存在がいる可能性は極めて高い。

それが神かどうかまではわからないが、素直に考えれば神だろう。


「そもそも、タカシの力で強化できる項目にはあるの?」


 聖魔法……。

あったかな?

ステータス操作の項目で聖魔法を探す。


「えーと。……あったあった」


 今まではあまり意識していなかったから見落としていた。


「いい機会だし、取得しておくよ」


「いいんじゃない? ボクの強化もお願いね」


 スキルポイントを消費し、ステータス操作を行う。

俺は聖魔法レベル1を取得した。

アイリスは聖魔法をレベル2に強化した。


 聖魔法レベル1はウィッシュ。

ゴーストなどの霊的存在の浄化や、闇魔法の打ち消しなどの効力があるようだ。

以前、アイリスやクラッツたちが、闇魔法に汚染されたバルダインを浄化していた。


「よし。無事にウィッシュという魔法が使えるようになったようだ」


「よかったね。ボクも、ホーリーシャインという魔法を使えるようになったみたい。他の神官が使っているところを見たことがある。これなら多少手強いゴーストが出てきてもだいじょうぶだと思う」


 アイリスがそう言う。

聖魔法レベル2はホーリーシャインという魔法らしい。


「うん。これで安心してゴーストの浄化に臨めるな。2人でがんばろう」


 俺とアイリスの2人で張り込もう。


「ちょっと待ってください! 私も付き合います!」


「ゴースト? 一度見てみたいな。私もいっしょにいい?」


 ミティとモニカがそう言う。

彼女たちが来ても、ゴースト戦では特にすることはないが。

まあ本人が来たいと言っているなら、反対する大きな理由もないか。

さほどの危険もないだろうし。


 しかし、ミティとモニカは度胸があるな。

俺なら、自身が対抗手段を持っていない状態で心霊スポットへは絶対に行かないが。


「わ、わたしも行きます!」


 ニムがそう言う。

彼女も度胸がある。

……いや、そうでもなさそうか。

顔がこわばっている。


「ニム。別に無理する必要はないんだぞ?」


「い、いえ。わたしにも何かできることがあるかもしれませんし。タカシさんにはたくさんお世話になっていますから」


 まあ、本人がそう言うのであれば、無理に止める必要もないだろう。

ゴーストとの戦闘を見学することが、今後の役に立つ可能性もあるしな。


 ゴーストの浄化を担当するのは、俺とアイリス。

そして見学者がミティ、モニカ、ニムの3人だ。

今夜の張り込みに向けて、準備をしておこう。




レベル17、タカシ=ハイブリッジ

種族:ヒューマン

役割:リーダー

職業:魔法剣士

ランク:C

HP:127(98+29)

MP:160(64+96)

腕力: 97(53+17+27)

脚力: 90(50+15+25)

体力:133(58+17+58)

器用: 73(56+17)

魔力:120(60+60)


武器:紅剣クリム

防具:アイアンアーマー、アイアンシールド


残りスキルポイント15

スキル:

ステータス操作

スキルリセット

加護付与

異世界言語

剣術レベル4

格闘術レベル1

回避術レベル2

気配察知レベル2

気配隠匿レベル1

視力強化レベル1

MP強化レベル3

腕力強化レベル1

脚力強化レベル1

体力強化レベル2

魔力強化レベル2

肉体強化レベル3

闘気術レベル3「開放、感知、集中」

火魔法レベル5「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード、ボルカニックフレイム、火魔法創造 “二十本桜” “バーンアウト”」

水魔法レベル1「ウォーターボール」

風魔法レベル1「エアバースト」

聖魔法レベル1「ウィッシュ」

治療魔法レベル4「キュア、ヒール、エリアヒール、リカバリー」

空間魔法レベル3「アイテムボックス、アイテムルーム、転移魔法陣作成」

高速詠唱レベル1

MP消費量減少レベル2

MP回復速度強化レベル1


称号:

犬狩り

ホワイトタイガー討伐者

ジャイアントゴーレム討伐者

オーガ・ハーピィの盟友

ガルハード杯ベスト16



レベル17、アイリス=シルヴェスタ

種族:ヒューマン

役割:神官

職業:武闘家

ランク:D

HP:126(97+29)

MP: 68(52+16)

腕力: 78(60+18)

脚力:115(64+19+32)

体力:120(52+16+52)

器用: 91(70+21)

魔力: 65(50+15)


武器:バトルガントレット

防具:レザーアーマー

その他:スプールの首飾り


残りスキルポイント10

スキル:

格闘術レベル4

気配察知レベル1

気配隠匿レベル1

脚力強化レベル1

体力強化レベル2

闘気術レベル4

聖闘気術レベル3

聖魔法レベル2「ウィッシュ、ホーリーシャイン」

治療魔法レベル3「キュア、ヒール、エリアヒール」


称号:

タカシの加護を受けし者

ジャイアントゴーレム討伐者

ガルハード杯ベスト16

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