129話 モニカとニムのスキル強化

 モニカとニムが冒険者デビューし、強化の方針が定まり、武器を整えてから数日が経過した。


 冒険者活動の傍ら、ナックの紹介先への治療回りも継続してきた。

それもようやくひと段落がつきそうだ。

手間がかかったが、思わぬ見返りもあった。


 治療魔法のお礼として、中古住宅をもらえることになったのだ。

近いうちに引き渡してもらえることになっている。

今から楽しみだ。


 まあ、その件はとりあえず置いておこう。

今は、モニカとニムの冒険者活動の件だ。

モニカのレベルが5から6に上がった。

ニムのレベルが3から4に上がった。

やはり最初は上がりやすい。


 また、俺、ミティ、アイリスのレベルも上がった。

俺はレベル16から17。

ミティはレベル14から15。

アイリスはレベル16から17だ。


 振り返ってみると、今回の俺たちのレベルアップにはかなり時間がかかった。

前回のレベルアップは、ハガ王国での潜入作戦が終わった頃だった。

確か、6月下旬だ。

今は、8月下旬。

期間にして2か月くらいか。


 まあ、この2か月間はさほど冒険者活動に力を入れてなかったしな。

レベリング効率が落ちるのは仕方がない。


 7月上旬は、戦後のハガ王国でのんびり過ごした。

7月下旬は、ハガ王国からゾルフ砦、そしてゾルフ砦からラーグの街までの移動期間だ。

移動中にも護衛として魔物は狩ったが、メインはあくまで護衛。

自分から獲物を探し歩いたりはしていない。


 8月上旬は、モニカとニムの作業を手伝っていたため、冒険者活動は少し疎かになっていた。

そして今の8月下旬は、モニカとニムのレベリングのサポートをメインにしている。


 この2か月間でも、普段の冒険者活動や訓練は最低限は行っている。

コツコツためた経験値がやっとたまり、今回のレベルアップにつながったといったところか。


 現状、俺、ミティ、アイリスは急いでスキルポイントを使う必要もない。

ゆっくりと使い道を考えよう。


 ミティとアイリスにも、また力を強化できるようになったことだけは伝えておいた。

彼女たちにもゆっくりと使い道を考えてもらおう。


 今は、モニカとニムのスキルポイントの使い道が重要だ。


「モニカ、ニム。良い報告がある。力をまた強化できるようになった」


「やった!」


「う、うれしいです」


 モニカとニムが喜ぶ。


「それで、何か希望はあるか? 俺としては、既存の力を強化していくのがいいと思う。いろいろな力を伸ばしても、器用貧乏になる恐れがあるからな」


 俺は器用貧乏になり気味だ。

少し注意しておく必要がある。

まあ、俺にはいざとなればスキルリセットがあるが。

とはいえ、スキルリセットには再使用不可の期間があるようだし、無闇に使いにくい。

結局、なかなか使わないままになりそうだ。


「既存の力か。私の場合、格闘術、脚力強化、雷魔法、料理術の4つだよね。料理術を強化したいけど……」


 モニカがそう言う。

料理屋の娘だし、料理がうまくなりたい願望はあって当然だろうな。

彼女は、ステータス操作によって技術を向上させることへの忌避感はないようだ。

割り切った性格をしている。


「料理術か。モニカの腕が上がれば、より料理がおいしくなる。悪くはない選択だけど……」


 俺は言いよどむ。


「……やっぱり、料理術の強化はやめておこうかな。今は戦闘の力のほうが大切。そうでしょ?」


「そうだな。戦闘の力が増せば、より効率的かつ安全に魔物を狩ることができる。今後、料理術を強化する機会はいくらでもあるだろう」


 まずは戦闘能力を強化することが先決だ。

戦闘能力が上がれば、レベリング効率も良くなる。


「うーん。それなら、格闘術を強化してもらおうかな? どうだろう?」


「いいと思うよ。実戦経験の不足は、ボクと特訓して補おう」


 アイリスがそう言う。

アイリスとモニカは、脚力重視の武闘家として戦闘スタイルが似ている。

モニカがアイリスから学ぶことも多いだろう。


「わ、私は土魔法がいいでしょうか?」


 ニムがそう言う。

彼女が所持しているスキルは、体力強化レベル1、土魔法レベル1、それに栽培術レベル1。

戦闘に直接的に役立つスキルは土魔法だ。


「そうだな。俺もそれが良いと思う。ニムがよければそうしよう」


「も、問題ないです」


 モニカとニムの今回の強化内容が決まった。

モニカは、格闘術をレベル2から3に強化する。

ニムは、土魔法をレベル1から2に強化だ。

さっそくステータス操作を実行する。


「うん。やっぱりタカシの力はすごいね。格闘がさらに上達した実感がある。犬なんてもう怖くないね」


 モニカがそう言う。

戦闘能力が向上したことに加え、慣れもあるしな。


「それは良かった」


 ファイティングドッグが怖くなくなったのは良いことだろう。


「ニム。新しい土魔法はどんな感じだ?」


「た、試してみます」


 ニムが俺たちから少し離れる。

草が薄く地面が剥き出しになっているところに立つ。


「……ロックアーマー」


 土が盛り上がり、ニムの周りを覆っていく。


「おお。なんだそれ?」


 他の魔法とはやや方向性の異なる魔法だ。


「ボク、見たことがあるよ。土で鎧を創る魔法だよね?」


 なるほど。

そう言えば、防衛戦で誰かが使っていた気がしなくもない。


「そ、そうみたいです」


「へえ。使い勝手はどうなんだろう?」


 俺はそう言う。

見かけは強そうだ。


「あ、安心感はありますが……」


「ちょっと私が殴ってみましょうか?」


 ミティが腕をまくる。


「待て待て。ミティが殴ると、さすがにやばいだろ」


 ミティの怪力と闘気の前には、ただの岩などはひとたまりもない。

土魔法レベル4とか5ならまだしも、レベル2では耐えきれないだろう。


 俺はニムの土鎧を軽く指で叩いてみる。

コンコン。

普通の岩の固さだ。

ミティの攻撃はともかく、ファイティングドッグの攻撃ぐらいであれば問題なく防げそうな気がする。


「ニム。そのまま、あの木に体当たりしてみるのはどうだ?」


「や、やってみます」


 ニムが走りだす。

岩の重さで、やや動きが遅くなっている。

何とか加速していく。


 そのまま、木に体当たりした。

木が折れることはなかったが、大きくしなっている。

それなりの威力はありそうだ。


「中の衝撃はどうだ?」


「あ、あんまり痛くありません」


「そうか。なかなか良さそうな魔法だな」


 ニムは体力はあるが、腕力や脚力はそれほどない。

今回も、岩鎧の重みで動きが遅くなっていた。

腕力や脚力などの身体能力を向上させれば、体当たりの威力も増すだろう。

その方向性もありかもしれない。


「……ちょっと魔法を維持するのがつらくなってきました。解除しますね」


 ニムがそう言う。

岩鎧の持続にもMPを消費していたようだ。

彼女はMP関連のスキルをまだ取得していない。

魔法の持続力も今後の課題だな。


 ニムがロックアーマーを解除する。

土の鎧がバラけて、崩れ落ちる。


 俺は崩れ落ちた岩鎧を手に取り、観察する。


「鎧の内側は、柔らかい粘土でできているみたいだな。これで衝撃を吸収できるわけか」


 地球のヘルメットとかと同じようなイメージだ。

外側は硬い材質でできているが、内側はクッションなど柔らかい材質でできている。


「そ、そうみたいですね」


「うん。良い魔法じゃないか? うまく使えれば前衛としてもやっていけるかもな。もちろん、ニムがそれでよければだが」


「が、がんばってみます」


 ニムが岩の鎧で全身を固めて、敵の攻撃を耐える。

その隙に、俺、ミティ、アイリス、モニカで敵を総攻撃する。

悪くない戦法だろう。

ニムの能力や精神力に問題がなさそうであれば、その方針もありかもしれない。




レベル17、たかし

種族:ヒューマン

職業:剣士

ランク:C

HP:127(98+29)

MP:160(64+96)

腕力: 97(53+17+27)

脚力: 90(50+15+25)

体力:133(58+17+58)

器用: 73(56+17)

魔力:120(60+60)


武器:紅剣クリム

防具:アイアンアーマー、アイアンシールド


残りスキルポイント25

スキル:

ステータス操作

スキルリセット

加護付与

異世界言語

剣術レベル4

格闘術レベル1

回避術レベル2

気配察知レベル2

気配隠匿レベル1

視力強化レベル1

MP強化レベル3

腕力強化レベル1

脚力強化レベル1

体力強化レベル2

魔力強化レベル2

肉体強化レベル3

闘気術レベル3 「開放、感知、集中」

火魔法レベル5 「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード、ボルカニックフレイム、火魔法創造 “二十本桜” “バーンアウト”」

水魔法レベル1 「ウォーターボール」

風魔法レベル1 「エアバースト」

治療魔法レベル4 「キュア、ヒール、エリアヒール、リカバリー」

空間魔法レベル3 「アイテムボックス、アイテムルーム、転移魔法陣作成」

高速詠唱レベル1

MP消費量減少レベル2

MP回復速度強化レベル1


称号:

犬狩り

ホワイトタイガー討伐者

ジャイアントゴーレム討伐者

オーガ・ハーピィの盟友

ガルハード杯ベスト16



レベル15、ミティ

種族:ドワーフ

職業:槌士

ランク:D

HP:111(85+26)

MP: 64(49+15)

腕力:281(85+26+170)

脚力: 53(41+12)

体力:103(57+17+29)

器用: 51(22+7+22)

魔力: 62(48+14)


武器:ドワーフの戦槌

防具:アイアンアーマー

その他:アイテムバッグ


残りスキルポイント25

スキル:

槌術レベル4

格闘術レベル1

投擲術レベル3

体力強化レベル1

腕力強化レベル4

器用強化レベル2

闘気術レベル3 「開放、感知、集中」

風魔法レベル2 「エアバースト、エアリアルスラッシュ」

MP回復速度強化レベル1

鍛冶術レベル3


称号:

タカシの加護を受けし者

ジャイアントゴーレム討伐者

百人力

ガルハード杯優勝者



レベル17、アイリス

種族:ヒューマン

職業:武闘家

ランク:D

HP:126(97+29)

MP: 68(52+16)

腕力: 78(60+18)

脚力:115(64+19+32)

体力:120(52+16+52)

器用: 91(70+21)

魔力: 65(50+15)


武器:バトルガントレット

防具:レザーアーマー

その他:スプールの首飾り


残りスキルポイント15

スキル:

格闘術レベル4

気配察知レベル1

気配隠匿レベル1

脚力強化レベル1

体力強化レベル2

闘気術レベル4

聖闘気術レベル3

聖魔法レベル1「ウィッシュ」

治療魔法レベル3「キュア、ヒール、エリアヒール」


称号:

タカシの加護を受けし者

ジャイアントゴーレム討伐者

ガルハード杯ベスト16



レベル6、モニカ

種族:兎獣人

職業:武闘家

ランク:E

HP:52(40+12)

MP:26(20+6)

腕力:23(18+5)

脚力:69(30+9+30)

体力:29(22+7)

器用:26(20+6)

魔力:35(27+8)


武器:アイアンガントレット

防具:レザーアーマー



残りスキルポイント0

スキル:

格闘術レベル3

脚力強化レベル2

雷魔法レベル1「スパーク」

料理術レベル3


称号:

タカシの加護を受けし者



レベル4、ニム

種族:犬獣人

職業:土魔法使い

ランク:E

HP:44(34+10)

MP:18(14+4)

腕力:22(17+5)

脚力:20(16+4)

体力:46(25+8+13)

器用:16(12+4)

魔力:21(16+5)


武器:ウッドロッド

防具:レザーアーマー


残りスキルポイント5

スキル:

体力強化レベル1

土魔法レベル2「ストーンショット、ロックアーマー」

栽培術レベル1


称号:

タカシの加護を受けし者

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