76話 タカシのスキル強化

 さて、スキルはどうしようかな。

宿屋に戻ってからじっくり考えるか。


 食事などを済ませ、ミティと宿屋に戻る。

イスに座り、今後の方針やスキルについて考えていく。


 前回レベルアップしたときから、活動方針に大きな変更はない。

ガルハード杯で活躍するために武闘系のスキルを優先しつつ、防衛戦に向けたスキルも意識する。


 方針に変更点があるとすれば、俺がガルハード杯で1回戦負けしたため、武闘系のスキルの優先度が落ちたくらいか。

とはいえ、明日には今日の試合で敗退した選手同士による試合もあるし、武闘系のスキルを取得して損はない。


 俺のスキルポイントの使い道は何がよさそうか。

武闘会では役に立たないが、防衛戦では有用そうなスキル。

武闘会で役に立ち、防衛戦でも有用そうなスキル。

この2つは分けて考えるべきだろう。

 

 前者のスキルとしては、剣術に加え、魔法スキル全般が挙げられる。

防衛戦の動向がわからないので、とりあえず保留だ。


 弱めの魔物の軍勢が相手なら、火魔法主体でいける。

補助スキルとしてMP回復速度強化などを取得すればいいだろう。


 ゲリラ戦が想定されるなら、剣術や気配察知などのスキルが良さそうか。

火魔法が有効ではない敵や状況の対策として、水魔法や風魔法を強化するのも悪くない。


 ケガ人が出たときに備えて治療魔法を取得するのもいいが、ケガ人が出る度に治療していてはきりがない。

俺の精神力的に、治療魔法を使える状態でケガ人を見捨てることは難しい。

あえて取得しないでおくほうがいいような気もする。

もちろん、ミティが大ケガをしたら躊躇なく治療魔法に全振りするが。


 治療魔法レベル1はかすり傷やちょっとした切り傷の治療程度にしか使えない。

治療魔法レベル2になっても、効果の大きさにはさほど期待できないだろう。

骨折や大きめの切り傷などを治せるようになるには、治療魔法レベル3か4は必要になりそうだ。


 そこまで治療魔法にスキルポイントを振るくらいなら、その分を戦闘系のスキルに振るほうがいい。

大幅な戦力アップになり、戦闘に安定性が増し、レベリング効率もよくなる。

治療魔法に振るよりもかえって安全性が増す可能性すらある。


 治療魔法はとりあえずは保留だな。

今後、治療魔法を使えるパーティメンバーが欲しいところだ。


 ミティに治療魔法を取得してもらうのはどうか。

ミティは腕力を活かしたハンマーと投擲による戦闘がメイン。

サブで風魔法。

将来的には鍛冶スキルの取得もありえる。

ここにさらに治療魔法を追加しては、器用貧乏になる恐れがある。

ミティに治療魔法を取得してもらうのはなし寄りだ。


 今後のパーティメンバーに取得してもらえれば理想的なんだが。

加護を付与するには、俺に対する忠義度が50以上必要だ。

忠義という言葉は物々しいが、実質的には好感度のような感覚だ。

50という数値の基準はよくわかってない。

推測では、命の恩人や特に仲のいい夫婦などといったレベルだ。


 現状で忠義度50に近いのは、ユナとリーゼロッテだ。

近いとはいっても、忠義度25から30くらいだが。

忠義度30は、恋人や特に仲のいい友人などといったレベルだ。


 いい感じの数値ではある。

ただ、ここから50まで上げるのはなかなか大変そうだ。

彼女たちはこのゾルフ砦に現在滞在している。

明日の試合でいいところを見せたり、防衛戦で活躍したりすれば、もしかしたら条件達成もあるかもしれない。


 次に50に近いのは、ニムとモニカだ。

ニムはラーグの街で出会ったやや貧しそうな少女。

彼女が売っているリンゴを少し高値で買ったり、アップルパイをプレゼントしたりした。

モニカはラーグの街の食堂の店員。

彼女の父が病床のため、店長代理として店を切り盛りしている。

俺がラーグの街を拠点としていた頃は、そこでよく夕食を食べていた。


 ニムとモニカは、忠義度20くらい。

ちょっとした恩人やごく普通の友人などといったレベルだ。

彼女たちはラーグの街に住んでいるため、現在は関わりがない。

しばらく会っていないし、忠義度が若干下がっている可能性がある。

さすがに忘れられてはいないと思うが。


 ああ。

あと、忘れてはいけないのはアイリスだな。

彼女は忠義度30くらい。


 彼女は武闘神官見習いだ。

エドワード司祭に付いてあちこちを巡っている。

彼女は、今日の試合の1回戦で負けたとはいえ、戦闘力はある。

さらに、治療魔法も使える。


 アイリスの冒険者ランクはEだが、これは活動実績が乏しいためだ。

実力はCランクか、少なくともDランクは固いだろう。

スキルレベルとしても、格闘術、闘気術、治療魔法などのスキルレベルは1か2ぐらいはありそうだ。


 彼女とは、一時的にパーティを組んでいる。

加護を付与して、このまま正式にパーティメンバーに加わってもらえればかなり助かるのだが。

いや、とりあえずは加護なしでも、純粋にパーティメンバーに加わってもらうだけでも十分だ。

機を見て話してみるか。


 とりあえずは、明日の試合だ。

今日の試合の敗者同士で試合がある。

彼女や俺もそれに出場する。

そこでいいところを見せられれば、忠義度が少し上がるかもしれない。

彼女と直接対決になる可能性もあるしな。


 少し話がそれたな。

武闘会では役に立たないが、防衛戦では有用そうなスキルの候補の話だ。

剣術、気配察知、水魔法、風魔法、治療魔法。

MP回復速度強化などの魔法関係の補助スキル。

このあたりが候補だ。


 ただ、これらのスキルは、焦って今すぐに取得する必要はない。

防衛戦の状況に応じて、良さそうなスキルを取得すればいいだろう。

スキルポイントに余裕があれば、防衛戦が始まる前に新しい魔法を取得し、練習しておくのも悪くないが。


 そういう意味では、魔剣術を取得できるならば、取得しておきたいところではある。

しかし、魔剣術をビスカチオに教わり始めて2週間ほどが経過したが、ステータス操作で取得可能なスキル欄に魔剣術の項目は追加されていない。

闘気術の場合は、メルビンに教わり始めて1週間程で闘気術の項目が追加された。

やはり魔剣術の方が取得難易度が高いのだろう。

まあそもそも、魔剣術がステータス操作で取得可能なスキルとして扱われているのか不明だが。



 次に考えておくべきなのは、武闘会で役に立ち、防衛戦でも有用そうなスキルの候補だ。

回避術、体力強化、肉体強化、闘気術、腕力強化、脚力強化あたりか。

回避術レベル1を2に上げるには、5ポイント。

体力強化レベル2を3に上げるには、10ポイント。

肉体強化レベル3を4に上げるには、15ポイント。

闘気術レベル3を4に上げるには、15ポイント。

腕力強化を取得するには、10ポイント。

脚力強化を取得するには、10ポイント。


 今はスキルポイントが35もある。

多少は温存しておくとしても、最大25ポイントぐらいまでは使ってしまってもいいだろう。


 この中では、腕力強化が良さそうかな。

剛拳流との相性がよく、明日の武闘会で役に立つ。

対魔物での剣術の威力も増すだろう。


 脚力強化も捨てがたい。

腕力ではミティにはもはや敵わない。

パーティ内で能力を差別化しておくために、脚力強化を優先するのもありだ。

ただ、剛拳流とはさほど相性が良くない。

明日の武闘会で役に立つかは微妙だ。


 闘気術を4にするのも魅力的だ。

ただ、さすがに目立ち過ぎるかもしれない。

単純に格闘の技術の上達速度だけなら、才能や冒険者としての経験で言い訳できる。

しかし、闘気術を習い始めたのはつい1か月ほど前だ。


 メルビン師範にも、闘気術について何も知らないと伝えて教えてもらい始めた。

戦闘能力の高さで目立つのは仕方ないが、上達速度の速さで目立つのはできれば避けたいところではある。

まあ闘気術レベル3までは上げてしまっているし、今さら気にするのも遅いかもしれないが。


 あと、闘気術には疲れやすいというデメリットもあるんだよな。

武闘会のような強敵との短時間での一騎打ちを想定するならば、極めて有用なスキルではあるんだが。

普段の冒険者稼業でも、危険度の高い魔物とばったり遭遇したときとかを想定するならば、有用なスキルだ。

とはいえ、ファイティングドッグとかゴブリンのような低級の魔物相手には、闘気術が使えてもあまり意味がない。

現状の闘気術レベル3で十分な感じはある。


 いろいろ考えていく。

うーん。

今回は腕力強化と脚力強化を新たに取得することにするか。


 ステータス操作画面を開き、腕力強化と脚力強化を取得する。

これでよし。

なんとなく腕や脚の力が強化された気がする。


 しかし、今さらだがスキルの理屈ってどうなっているんだろうな?

肉体強化レベル3により、身体能力系のもともとのステータス値の3割が各ステータス値に加算されている。

今回取得した腕力強化レベル1と脚力強化レベル1は、もともとのステータス値の5割を加算するスキルだ。


 腕力のステータス値でいえば、もともとのステータス値が43。

肉体強化レベル3により、+13。

腕力強化レベル1により、+22。

「43+13+22=78」という計算により、俺の補正後の腕力のステータス値は78だ。


 今回腕力強化レベル1を取得したことにより、腕力のステータス値が56から78に上がったということだ。

およそ1.4倍だ。

この1.4倍が何を意味するか、正直よくわからない。

外見上ではっきりと筋肉が付いたようには見えないが、なんとなく力は強化されている感じはする。


 ウェイトリフティングでいえば、50キロの重さのウェイトを上げるのが限界だったのが、70キロまで上げられるようになったといったところだろうか。

そこまで単純な数値ではないような気もする。

実感として最大出力は上がっていそうな気はするが、さすがに4割も向上していそうかと言われると、疑問が残る。

このあたりは検証の余地がある。


 いずれにせよ、身体能力が大幅に強化されたのは間違いない。

脚力の強化も大きい。

ストラスの使っていた高速移動技”鳴神-ナルカミ-”のイメージトレーニングもしておくか。


 明日の武闘会は、できれば勝ちたいところだ。

俺の対戦相手がだれになるかは、明日にならないとわからない。

同じく1回戦負けした選手の中のだれかだ。


 ウッディ、マーチン、アイリス、マスクマン、サイゾウ、カタリーナ、ラゴラス。

倍率的に言えば、マスクマン、アイリス、カタリーナ、サイゾウあたりが相手なら勝ちも現実的に狙えそうか。

逆に、ラゴラスが相手ならきつそうだ。

ウッディは、スピードで翻弄すればワンチャンあるか?

マーチンは強敵だが、ミティ戦でのダメージが残っていれば勝機はある。



レベル14、たかし

種族:ヒューマン

職業:剣士

ランク:D

HP:105(81+24)

MP:133(53+80)

腕力: 78(43+13+22)

脚力: 72(40+12+20)

体力:110(48+14+48)

器用: 59(45+14)

魔力: 98(49+49)


武器:アイアンソード

防具:レザーアーマー(上)、スモールシールド


残りスキルポイント15

スキル:

ステータス操作

スキルリセット

加護付与

異世界言語

剣術レベル3

格闘術レベル1

回避術レベル1

気配察知レベル2

MP強化レベル3

腕力強化レベル1

脚力強化レベル1

体力強化レベル2

魔力強化レベル2

肉体強化レベル3

闘気術レベル3 「開放、感知、集中」

火魔法レベル5 「ファイアーボール、ファイアーアロー、ファイアートルネード、ボルカニックフレイム、火魔法創造 “五本桜” “バーンアウト”」

水魔法レベル1 「ウォーターボール」

風魔法レベル1 「エアバースト」

治療魔法レベル1 「キュア」

空間魔法レベル2 「アイテムボックス、アイテムルーム」

MP消費量減少レベル2

MP回復速度強化レベル1


称号:

犬狩り

ホワイトタイガー討伐者

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