ACT53 校舎にて
学園都市スレイツェン。
初等部校舎の屋上ではノエルとパトリス、クライヴの三人が空を仰ぎ、天空に響き渡るリューシンガの言葉に耳を傾けていた。
「ディア先生だ……」
クライヴが呟く。
「聖女様……だったんだ」
パトリスが言う。
「違う、聖女様になったんだよ」
ノエルが言った。
「なあ、これからどうなっちゃうんだ?」
「なんだよ、心配してんのかクライヴ?」
「だって、これって世界が大きく変わっちゃうってことだろ?」
「大丈夫。だってあのディア先生なんだよ? ううん、今は聖女クローディア様だね」
三人はスレイツェンの町並みを見下ろす。
何処もかしこもが騒然としていた。
だがその喧噪に耳を澄ましてみても、リューシンガを批判するような声が聞こえなかった。
ふと、何処からか掛け声が聞こえてくる。
まるでお祭りでも始まったかのような威勢の良い声。
その声は波となって街を覆い尽くし、人々は口々にその言葉を発していた。
――聖女クローディア様万歳。
三人は、幼いながらもその歴史の変わり目を肌で感じていた。
「……がんばってね。ディア先生」
手摺にもたれるノエルが、クローディアの凛々しい表情を眺めながら小さく呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます