中層
4階へ上るとほとんど魔人しかいなかった。
身長2メートル50センチを超えるような巨人タイプの魔人が多い。
人間の姿も下層に比べると少ない。
巨人は厄介なことに炎の息を吐く。
10匹、20匹と迫ってくると、炎と攻撃を避けるだけで精一杯となり攻撃をすることができない。
カースとアデラが苦戦していると、ナギが氷魔法の補助魔法を唱えてくれた。
炎に対してシールドになり、直撃しても何回かは防いでくれる。
そこで、カースが炎を浴びながら強行突破し、先頭にいた魔人5匹を倒す。
カースに注目が集まったところで、アデラが回りこみ背後から魔人を5匹倒す。
一度に10匹の魔人が倒されたことに魔人達が動揺している隙に、一度後方まで撤退する。
巨人は大きさの割に動きもよく、炎だけでなく物理攻撃も侮れない。
巨人が50匹単位でなだれ込んでくる。
カースが衝撃波で3匹倒し、アデラも0距離まで詰めて2匹倒す。
巨人の一撃を警戒し、一度には始末できない。
下層からの連戦でカースの息も上がっている。
ナギがアデラにサインを出す。
アデラが理解し、カースに抱き着くとふわっと浮いた。
ナギとアデラの飛行魔法で一度城の外まで逃れた。
大きく後退して、泉のほとりに着地する。
作戦を練り直す必要があった。
「力押しでは中層は無理だ」ナギは冷たく言い放つ。
「ナギ、すみません、9階まで隠密行動のはずだったのに」
「いや、ただ、こうなったら魔人たちが下層の住民に報復をするだろう」
「あ・・・」引き返そうとするカースをアデラが止める。
「やめておけ、カース」
「でも、ナギ」
「俺たちは神様じゃない、できることとできないことがある、お前の力も強大だが、その力を使うお前の体には限界がある」
ナギに言われなくても分かっていた。カースは魔人から受ける傷以上に己の力の暴走によって肉体を傷つけていた。
「休憩だ、魔人も下層は全滅させられた、カースとアデラ様のおかげだ、すぐにこちらに向ける戦力はないだろう、3時間休憩しよう」
「は、はい」カースは悔しさで涙が止まらなかった。助けたつもりだった少女はどうなったのだろう、城にいた人々はどうなったのだろう。少女に感謝されて、その気になっていた俺はなんていう愚か者だ。
アデラは、震えるカースのことをそっと抱きしめた。
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