後後231 のんびりのお食事時


アニャータが遅くなるので夕食も少し遅いだろうと思っていた。

まぁ当たりだけど、でも領主様の邸に戻った時はもう用意されていて、ぎりぎりだった。失礼に成るトコだったー。


将軍様夫妻は転位門で王都に戻っている。

シューレは「わたしは店に泊まる、というか、作業だな」。

ケーキを作るようだ。新作で美味かったのを仕上げるのだろうな。



「やっと帰ってきたか。はよ席に着け」

促されて席に着くと、

おや?

「なんだい?何か顔に付いているかい?」

そう言いながらみそスープの入ったでかいボールをテーブルの真ん中の方に置くおっかさん。


「いや、おっかさん、なぜここに?」

「おもしろそうだってシューレが言ってきてね」言いながらスープを皆の椀にとりわけくれる。

またシューレですか


「面白いですか?」

「何いってんだよ?これからだろ?期待しているよ?」

何をどう期待してるの?


「大精霊殿に期待されるって、お前達いつの間に?」領主様

ちがいます、漫才師に期待するような方角です。


「領主様、人間が神の考えを考えてみても仕方がないように、大精霊の考えを人間が読むことは無理だと。」泉さん

「まぁ、そうかの」

うん、事実を言ったらがっかりするよね?というか信じないかw


「大聖霊様も座ってくだされ」

(そこまでまだ行ってはいないと思ったんだけどねぇ)おかん

(いやいや、もう大精霊格でしょ。十分ですよ)

(そうかい?)

他のは領主邸食堂使用人達が持ってきてくれた。


夕食はおかんが作ってくれたらしく、シューレ並であった。

領主様も喜んで食べていた。


「あれ?おかん、アニエッラは?」

「街に遊びに行っているよ。」

「え?もう夜だよ?」

「ああそうだね。」

まぁ、もともと夜番ウエイトレスだったか。妖精なんで強いし。


「妖精って、捕らえられたりしないの?」

「無理だねぇ、大妖精が妖精を捕らえるとかならできるけど」

なるほど


「妖精って何やっても死なないの?」

「聞いたこと無いね、切っても焼いても毒でもなんとも無いからねぇ」

「じゃ、少なくとも人間の世界じゃ危なくないんだね?」

「と思うよ?」

曖昧だなあ


なんか食事中の会話には似合わない話しになってしまった。

皆もアニエッラのことを心配しているだろうから、と聞いた事だが、皆も聞いていたのでそうだったのだろう。



夕食後のお茶が終わり解散。部屋に戻ってアニャータに訊いた。

「獣人は攫われたりすることあるの?」

「昔は多かったようですね。今は、人と同じように、なんらかしらの価値がある、つまり、高く売れそうな者だけさらうようです。ただ、ひとよりわかりやすい価値なので高いとか。」


「あぶねーな。アニャータは街を一人でうろついたらダメだからね!」

「しませんよ。」

「俺が呼んでいるとか言われて、知らない者について行くのもだめだからね!」

「・・・なるほど、そういうやり方もあるんですねぇ」




翌朝

邸の食堂に入ると、今度はアニエッラが味噌汁を取り分けていた。

領主様に挨拶し、アニエッラに声を書ける。

「おはようアニエッラ、ありがとう。」

と言いながらボールを触ってみる。


「このボール、保温効果あるの?」

「わかる?」

「まぁなんとなく。昨日おっかさんもやってたんじゃないかな?」

「母さんはスープは温かいうちに食べなきゃね、って言ってるからね」

「確かにそうだ。が、アニャータのはほどほどにお願いします」

「あ、ねこだった!」


昨日の夕飯の時はおっかさんは気を使ってくれてアニャータのは少し冷ましてくれた様子。

便利だね魔法使える精霊は!



ヒモノの焼いたの。

漬物。

味噌汁。

ごはん。

以上。


食後にお茶とあんこのだんごの茶菓子。

を、この洋風和室で頂いてくつろいでいる。

いずみさんは珍しく煙管をふかしている。


基本、この武国の者達は質素な生活をしている。なぜか贅沢を嫌う。

が、面白いことや武器系には糸目をつけない、なぜか。


あれ?

似てないか?同じようなもんだよな?

大妖精の、食い物と面白いものだけ!のみで生きているのと。


「いや、私らはへんな柵(しがらみ)いっさいないからね?」おっかさん

まぁそうだよな、それが日常の7−8割になっちまうからなひとの生活は。


あ、いい匂い

「いずみさん、葉を変えました?」

アニャータも鼻をくんくんいわせ、あらほんといい匂い!、と言っている。


「ああ、おっかさんに貰ったばかりだ。なかなかうまい」

へぇ?食べ物だけじゃないの?


「いや、あたしもたまーに吸うんだよ。なんでね、タバコ葉にいろいろやってみたりね。」

へぇ?

「おっかさん、んじゃ酒は?」泉さん

「酒はいじったこt・・・・・昔あったな、なぜやめたんだろう?」

悩みだすおっかさん


「なんか事故ったって昔言ってた気がするけど?」アニエッラ

「なんだい?その事故って?」

「いやねかあさんが言ったんじゃない、内容まで知らないわよ」

なんだろう?と悩みだす


思い出そうとすると思い出せなかったりすることも多い。

気にしなくなった途端思い出したりな。


決して、思いつかないから引き伸ばしているんだろ?とか思っては行けないのだ。決してっつ!!


「あ、なんだったかな、アルコールと相性悪いものを入れてさ、なんかとんでもない薬品に成ってて知らずに飲んで死ぬ間際まで行ったわ!!すごいよねー、妖精を死なすくらいのモノを作っちゃたんだよねあん時のわたしは!

あー、ありゃたいへんだった、・・・・・・・・・・・・そうそう、シューレと一緒にやったんだよ、あいつがへんなこ

ぼこん!

いつの間にかシューレが来ていて、おっかさんを後ろから鉄のお盆(なぜそんなのがあるのだろう?)で殴りつけていた。


気絶したおっかさんに「また百年くらいわすれとけ〜〜〜♪」となんか掛けた。

元凶はこいつか!!


あれ?

「あれ?でもシューレはへいきで酒飲むよね?」

「ああ、私は別にトラウマになっていない。あんなの屁ではなかったのだ」

軽く言う・・

神に近づくってのはこういう、なんだ、その、人として無くっちゃいけないものが無い?みたいな感じが、いいのかな?しらんけど?


「私もしらんがな」シューレ


シューレが持ってきた完成された新作ケーキをみんなで美味しくいただきました!!

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