第293話 後後168 500ニャリンギ 増殖するシューレ食堂とケーキ屋から毎夜鳴き声の聞こえる恐怖


おや?

・・

数日後、シューレの食堂が隣の家と繋がった。

店の大きさが倍とはいわないけど、1.5倍くらいにはなっている。


「んなかトテンカンやてったとは思ってたが、、」

確かに泉さんの言うとおり大工がなんかしている音はしていた。


隣はすんなり?とシューレに聞くと、全て村長がやったとのこと。

んじゃ隣もすんなり移ったんだな。


「でも厨房は?」

「ああ、そこも繋がってよこにびろーんと」シューレ

横にびろーん、、ですか、、


「人員も増えたぞ!見習いが同数入った。」

へ?今までの人数分入ったの?


「だいじょぶ、ある程度できる者たちらしい」

らしいぃ??

「多分な!」

・・・・・


その日の昼と夜はなんか厨房修羅場、、、客は皆素直に早く食べ終えて帰っていった。

夜はしくしくしくしく多数の泣き声がシューレの店の方から遅くまで聞こえていた。

それは数日続いたが、、、

食事の方は少しつづ目に見えるほど良くなっていった。

その良くなる具合に反比例するように、夜の泣き声は少なくなっていった。


シューレは、張り付いた笑顔だったが、クチの端はときおりヒクついていた毎日。

そんちょが来ると、ギロッと睨まれていた。


(あれだな、使えるとか吹いて新人つっこんだんなだな村長)泉さん

(ですな、、あのおっさん未だに懲りない、、)

治すのは無理だな、、と泉さん

俺もそう思う、、、


だがしかし!

めんどくさい!ついでだ!と、シューレは領都のケーキ屋の方も倍にしたらしい。

ベテランに新人を鍛えさせる。が、そのベテランの鍛え方がなまっちょろいので、シューレがベテランを鍛える。

なので、ダブルで泣き声が夜中までまた始まった。


だが、ベテランも伊達にベテランになったわけじゃない。コレを乗り越えれば、すごく成れるとわかっている。なので泣きながらも頑張る。新人もそれを見てどうにか乗り越えられる。




「ねぇシューレ、農国とか日のいずる国とかでも、ドラゴニアとかでも、こういう鍛え方していたの?」

「え?いーや?奴等はすんなり覚えていったぞ?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

衝撃の事実!!!


「いやだから最初に言ったろ?ここまでのははじめてだ、って。」

そーだったっけ?

「でもな、そんなんでも、ここまで出来るようになったんだ、すごかろう?」

嬉しそうだな、、、だろうな、、


「うん、たいしたもんだなー」

「ああ、私は彼女らの寿命のほうが先に尽きると思っていたんだ、それが数年でここまでだぞ?」

・・・そこまでだったのかよ、、、よっぽどだな武国の


「まぁ、変な方向に伸ばすものばかりだろう?こっちのもともとある料理って、、だから基本がおかしいんだよ」

斜め上っすか、、


そ~言えば、ゼロからやり直し、って、、欧州に修行に出たベテランの手記とかにあったような、、、もちろん元の世界の。

井の中の蛙ってデッカく言ってたな、、


「ああ、そう言えば、俺が剣を握った時も、基本を替えたな。でもすんなり行ったけどな」元武士の泉さん

「そりゃお主はそうできるからだ。大半は難しいんじゃないかな?」シューレ

ほう、、たいへんだなぁ、、と他人事な泉さん。


ーー


夜のシクシクシクシクシクは小館村の風物詩、、となることもなく、半月ほどで消え失せた。

その代わり、なんだろうか、、鬼が増えた。

正確に言うと、鬼のような形相のおばちゃん達が増えた、シューレの食堂とケーキ屋では。


最初客達はビビっていたが、そのうち慣れた。慣れってすごいね!

いーんだかわるいんだか、、


そのかし、一度がくんと酷く落ちた料理やケーキが、少しつづまたもとの美味さの方向に戻りつつあるように客達は感じた。

あとは、待つだけだ、と、客達はわかった。


日増しにすこーしづつおいしくなっていくそれを、確認するかのように毎日店に通う者たちが増えた。

物好き?


「おう、今日はこれ、昨日より目が細かくなってるな」

「こっちも、生な部分がほぼなくなった焼きあがりだぜ?」

半生焼けで出すなよ、、


こんな具合で客達も楽しんでいる。

・・・

やっぱ武国の連中も、おもしろい、が生きがいなのだろうか、、、


そーんな客たちのやりとりを生暖かい目で見ながらニタリとするシューレ。


ひとなどにはわからぬところがおもしろいのだろう、、長い長い年月を行きてきている大精霊にとっては。


(単に性格だと思いますぅー!)

(それに500ニャリンギ!)




さて、、


農国

グレゴリーは、どうすっぺぇかのう?と思案していた。

東の大陸に攻め込む前に話していた、武国東武領領主の楽器の件である。(後後86話)


学校作ったら?って言って、そこで話は終わっていた。

「このまま放置でもいいかな、、、」

めんどくさいかなー、と思い始めているグレゴリー。


でも、楽器ちゃん達のことを考えるとかわいそうなのだ。

かといって、楽団にするとなると、、あの楽器で?えらく偏っているので、、何が演奏できるのか?

大概弦楽器がメインになるのだが、、それが少なすぎる。木管と打楽器が多い。打楽器から始まって、ってのが原始からの、なので、原始的な音楽なら行けるかな?とか思うが、誰が聞きたがるのだろうか?原始人?


どうせ打楽器なら木琴のクリスタル版とかだったらソロでもいけちゃうくらいなんだけど、、

こういっちゃーなんだが、、ゴミ系集めました、、

自分の物を売りに出す者って、「いらない」から売りに出すんだよねー、、

そういうのを多分「かわいそうだから」って、東武領の奥方が買い集めてしまったのだろう、と推測グレさん。


楽団するなら、ビオラとかバイオリン20丁くらいほしいし、でっかい弦楽器もそれなりに(5丁ずつくらい)ほしいし、金管も欲しいし、、

じゃないと音の調和が作れない。


そういえば、、以前、転生者が、1000人のオーケストラでやる曲があるとか言ってたよーな、、

必要な物を更に買い足すと、そこまではいかないが、300くらいになるんじゃねーの?

更に、今まで外来から聞いたけど無かったものも作らせちゃえばいんじゃね?この際だし、、ハープとか、、ギネス級200m20人で吹く横笛とか、、鍵が1000個あるスーパー5人用ピアノとか、、


まぁ、その資金は、、、武国しょーぐんさまに任せるとして、、



などと、いろいろ思案しているグレゴリーであった。


その頃当の領主様あすまたけしののぶただは、


「今日は月がきれいじゃのう、、」

といいながら、縁側に座っておちょこを傾けていた。

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