第119話 後−46 妖精おっさんの食堂 プチビーレ
おっちゃん妖精に飛べるの?って聞いたら、フンヌッ!とか言っていきなり羽生やして、ぱたぱた飛んだ。
「かなり久しぶりなんでなー、、ちゃんと飛べてるだろかね?」
「ナニがちゃんとになるのかわからんが、ブートッチの妖精同様には飛んでるぞ?」泉さん
「ほう、向こうにもまだ居たのか、、、ナニやってた?」おっちゃん
「どっちも、自分の好きな食い物屋で働いていた。」
・・・・・・
「・・やつら、まだ食うだけだった?」
「おう、食いまくってたな!」泉さん
・・・・
「まぁいっかー、、」と何かを諦めた妖精おっさん
「んじゃ、小魚いってみるか?」
とおっちゃんいきなり店主に戻る、いや姿は最初から変わってない。
「どーいうの?」俺
「まぁ、今食ってるやつの小魚版で、まるごと食うの。うめーぞ」
「おお、たのむわ!」泉さん
来たのは、
小魚に塩揉み込んでまぶして焼いたの。
「まぶしてある塩は、好みで取ってくれ」とのこと。
まずそのまま食ってみる。
「おお、これでもいけるな、、、」泉さん、肴としてのことだろう
次にまぶしてある塩を取り去る
「・・・おお、これだといくらでもいけそうだな!」
結局「どっちもうまい!」だった。
「働いて帰ってきたときは、塩あるまま食い、そーでないときは塩を取って食う。大体の客がそーやってんな」
とおっちゃん。
「おっちゃんが考えるの?こーゆーの」俺
「あ?ああ、そうだったかなぁ、、、ああ、、干物を作るの見てて思いついてやってみたんだったかな、、干物って開いて塩水に漬けてから干すだろ?なのでだ、塩水につけて焼いてみたりいろいろやったが、今のやり方が一番うまいとなってなー。100年位前かな?それからそれが流行って、、エッ料理になったんだったなー」
「すげーなー、、、発祥者かよ、、。で、妖精って、皆食い物関係なの?」俺
泉さんはいつものように食い、飲みながら聞いている。
「ああ、長く存在しているとだな、飽きてくるんだよ。でも、食い物に関しては、作るのだったら際限ないわな?もっと美味いもん、あたらしいもん、を作ってみたくなるだろ?素材を作るにしても。
例えば魚を養殖させ、でも運動不足魚はうまくないんで改良させてばんばん泳ぐようにさせて、、とかさ。
焼き加減も、昔に比べりゃかなり変わっているよな、今思い返せば。
一時期は石窯とか使ってみたりもしてた。ムニエルみたいな感じになった。あっち、ブートッチの連中はそっちのほうが気に入ったらしいが、俺は今のやり方を編み出してこれにした。香草も基本は入れない。塩のみで食う。」
「長年かけてたどり着いたのは、最も簡素な方法だったわけだ」泉さん
「ああ、妖精でも、自然には勝てねぇ、ってことだなぁ」おっちゃん
「で、その大自然の集大成である、酒のもっと美味いやつ、あるんだろう?」泉さん
「かなわねぇなぁ、、、どこまで飲んべぇなんだあんたわ、、、」と、カウンターの中から一升瓶を出すおっちゃん
目を輝かし両手を差し出す泉さん
「待ってろって、こりゃ燗するほうがうめぇんだよ、、」
「旨い」ことに関してはもう一目も二目もおっちゃんに置いた泉さん、素直に待つ。
「いいだろう、、」
おっちゃんはほどほどになった二合徳利を持ってくる。
「冷めるともったいないんで、終わったら次を燗するからな」おっちゃん
おう、、はやくはやく!!とぐい呑をっし出す泉さん
とくとくとく、、、
くいっ、、
「っかぁーーー」
「お、ちと熱かったか?」
「いや、ちょーど良い、美味さは多分これがちょうど良いんで、これでいい」泉さん
「んじゃ、小魚、塩をそのままで肴にしてみな」
食っては飲み、飲んでは食う、
「・・・お、、最初はあまり気付かなかったが、、食って飲んでると、、うめぇな、両方、、どんどんうまくなってる?」
へっへっへぇ〜
「だろう?、食って飲んでその後に、口や腹が感じる美味さってのは、合わさるんだよ、、それに気づいてからな、もっと料理も酒も飲み物も面白くなってなぁ、、」
・
・
「もしかして、、あの、、茶を食いながら食ったらとても旨いケーキって、、、」
「あ?ああ、あれも最初は俺が編み出した」
「「妖精って!!!」」
「まぁ、中にはまだまだ若くって、食い気だけの者達も多いが、そのうちに作る方に走るんだよ。ばんばん食ってるとだな、ある日いきなりバチンとなんかが弾け、ナニをどーしたらうまくなるんじゃないか?とか湧くわけ。
で、そっからはもうどんどん作りまくりの外しまくりの当てまくりだな。」
へぇ、、、
「んじゃ、おっちゃんも最初は食い意地のはった妖精だったわけ?」
「あっはっは!向こうのはまだそれかww、あーそーだ、そいつらと一緒だったなー」
へぇ!
「「面白いねぇ!妖精って!!」」
「だろう?」
と皿を差し出す。
皿には、見た目きびなごのからあげみたいのが乗っかっている。
「、きびなごの唐揚げっぽい、、、」俺
「ああ、昔なぁ、こっちにも外来が来ててな、教わったんだ。菓子みたいだって言ったら、まぁ、そうだなってわらってたなー」
「そうだな、、こっちの肴に比べたら、向こうのは、今思えば菓子みたいのばっかだったなー」と俺は思い返す。
「外来、多かったんスカ?」
「いや、そいつだけだった。」
「あれ?あんた、それ妖精のだろ?」
とおっちゃんはスクレに貰った髪留めを指差す。
「あ?、ええ、向こうのケーキ好きの妖精に。あいつも自分が妖精だと忘れてて、、」
はっはっはっは!皆そーだよはっはっは!
「ちょっと借りていいか?」おっちゃん
はずして渡す
その髪留めをつまんで、もごもごするおっちゃん
・・
・・
「ああ、わかった。」
へ??
「いや悪い、この持ち主だったやつと話した。」
・・・
「妖精の機能?みたいなやつだ」
へぇ、
「なんか今混んでて忙しいんで、明日昼ご飯時にこっちにくるって。あんたらいいか?」
「ああ、いいが、、」泉さん
またおっちゃんもごもご、、
髪留めを俺の襟に付け、
んじゃあすは昼飯にここで、ってことでたのまー
で、
「もう一本いく?」
「お?ああ、無くなってたか、、いつの間に、、、、うん、お燗で頼む」
なんだかよくわからんが、明日になればわかるかも?
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