アリマキ

 ぼくが窓からつきとばした。アリマキはいつものロクロ首のまねで、最後までぼくたちをからかった。降りてそこまで行ってみると、彼の体はすっかり袋状に変化していた。首のあったところが袋の口で、その穴の中には黒い飴玉がいっぱい。恋人のアザミと、ぼくはその飴を森の中に撒いた。蜂が集まってくる。

――よかった、今年の冬はハチミツが不足していたんだ。

ぼくたちの撒いた飴のまわりに、蜂が糸をだして巣をつくりはじめる。そこらじゅうに綿菓子みたいなコロニーができる。


 食事中ぼくのくちびるに虫がとまるようになった。「ほっぺに虫がついてるよ」とアザミは今朝その虫を食べてくれた。アザミについた虫はぼくが食べた。

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