062 契約
全力でニート街道を突き進む俺はしぶしぶではあるが親の勧めで数年ぶりに健康診断というものを受けてきた。
結果は残酷なもんだった。精密検査までした結果不治の病に罹っている事が分かったらしい。病名は長ったらしくて忘れた。担当の先生曰く、持って半年だって。
まあそんな事でへこたれるならニートなんかしていない。俺は残りの人生を全力で楽しむことにした。といってもやる事は毎日変わらない。ゲームとアニメの繰り返し。薄っぺらいが俺の人生なんてこんなもんだ。自宅警備員? アル〇ックさんお願いしますわ。
そんなこんなで半年が経った。俺は相変わらず元気で死ぬような雰囲気は全くなかった。薬の副作用で毛という毛は死滅してしまったがそれでもほんとに病気か、と自分で疑ってしまう程健康体だ。でも一応受けてる定期検診では病状は良くなっていないらしい。ほんまかいな。母ちゃんの作る料理だって残した事はないんだぞ。料理はよく知らんがバランスのいい食事だと思う。ほんと健康優良児だぜ。
でも調子が良かったのはついさっきまで。夕飯食って眠くなった俺は直ぐにベッドに入った。眠い時にすぐ寝るのがニートの鏡――そう思って寝たんだが息苦しさに目を覚ましてしまった。俺はどうも気付かないうちにドアノブにベルトかけて首つりしていたらしい。ほんと意味わからん。しかも両手を父ちゃんが抑えてて腹の上には母ちゃんが乗ってる。絶対動けない。何がどうなってんのよ。まじ死ぬわ。
ぐったりとした息子を見下ろし、母親は電話をかけ始めた。
「先生。新鮮なうちによろしくお願いします」
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