第 2回 消えたヒャダイン
とりあえず、習得順が逆転しているけれど ま、そのおかげでラッキーだし
バラモス城攻略前にマヒャド使えるとか誰も損してないよね? いいんじゃない。
なんて、表面上だけでも腑に落とし込んでしまえたのは、時代性がそうさせたのか少なくともいつの頃からか、このヒャダインバグをそれほど重要な事柄とは捉えなくなっていた。
無論、周りに合わせたのかもしれない。人間、何でも結果オーライならば喜んで許容するものなんだなと、この時感じたものだ。
むしろ、こんな事象にいちいち拘っているのは、子供たちの間ですら浮いてしまうもの
このヒャダイン問題について、話しているときに、友人が言っていた「いいじゃん。誰も損してないし」という言葉がそれを如実に物語る。
確かに損はしていないんだよなぁ 遊ぶ側としては・・・
そして時は流れ1992年(平成4年)、約2年ぶりにドラクエの新作が発表された。
ドラゴンクエストⅤ~天空の花嫁~
スーパーファミコンにハードを鞍替えし、満を持しての登場である。
勿論、ドラクエの魅力に憑りつかれていた筆者はこれもリアルタイムで手にする・・・つもりだったのだが、実はここに予期せぬ問題が発生したため、発売と同時にプレイとは相成らなかったのであった。
どんな問題かといえば、本筋から逸脱してしまうのだが、この際敢えてエッセイという形を執っている以上 綴らせてもらうことにする。
筆者のドラクエ新作リアルタイム体験を阻んだもの それはファイナルファンタジーであった。
そう、今でこそスクエニとして合併しているが、当時まだ別会社でエニックスとライバル関係にあったスクウェアの誇る人気RPG、FFことファイナルファンタジー その5作目がなんとこのドラクエⅤとほぼ同時期に発売されたのである。
これは、当時の筆者を悩ませた。いまでこそ間違いなくドラクエ派だが、この当時のFFは筆者にとってドラクエと同等かそれ以上の魅力を備えていたからだ。
究極の選択に、筆者は後者を選択してしまったのである。発売と同時にプレイしたのはFFⅤだったのだ。
余談であるが、この1992年は、国産RPG激戦の年だったように思う。この2作品以外では、ハドソンが自社ハードであるPCエンジンにて、天外魔境Ⅱ卍MARUを発表しているが、これはドラクエFF両者打倒を掲げたハドソンの挑戦でもあったようで、誤解なきようにいうが、確かに天外は頭一つ抜きんでていたのは間違いない。が、しかしそれはハード性能の差があったことも忘れてはならないのである。
(今なら、迷わず天外魔境を選ぶのだが・・・小学生でPCエンジンは・・・)
天外の魅力に気付くにはその後遙かに時間を要するのだった。
閑話休題
このことが、災いして?か、結局 まともにドラクエⅤをプレイしたのは年明けだったと思う。しかし、その傍らで、先行組の、もうクリアした連中が御多分に漏れずネタバレ的会話を繰り広げるのを、聞かないで過ごせるはずもなし。これが、リアルタイムの宿命なのか チャゲアスも『僕はこの瞳で嘘をつく』で歌っていたように、推理小説を最後から捲れるようなはずはない♪・・のだ なるべくネタバレは聞きたくはないのが心情だろう。
ただ、筆者はそんな一般的感覚と違い、ネタバレが平気な質のようで、むしろプレイ前のナマの事前情報に耳を傾けていた。そんな中で、専攻組の友人たちが話しているこんな会話が気になった
「今回、ヒャドってないんだよね? 覚えなかったし。でもヒャダルコはあるんだよ。イエティが覚えたもん」
「だよな。(主人公の)娘もいきなりヒャダルコだもんな。ヒャドないねぇ・・・」
なんと、一体どういうことなのだろう? ヒャドがないとは・・・しかしヒャダルコは顕在ということは、系統はどうなってしまったんだろう
「あ~、でも敵は使ってきたかも。(
「まじか?マーリン仲間になったらヒャド覚えないのに」
おいおい、びっくりさせるなよ とりあえず敵専用でもヒャドは存在しているのか。と、少し安心したその矢先 続いて友人たちの口から出た言葉は再び筆者を驚愕させた。
「そうそう、娘ってマヒャドも覚えるんだけどさ、イオラもあるし、その後イオナズンまで覚えるから正直要らないんだよね。全体攻撃ばっかり」
これが筆者の悪い癖なのかもしれない。しかし、よくもまぁ疑問に思わずそんなお気楽に話してるよな・・・と心中穏やかではない
そう、マヒャドはいつから全体攻撃になったのか ヒャド系で全体攻撃を担っていたのはヒャダインではないか しかし、彼らはヒャダインについて触れてすらいない。これほ一体全体どういうことだろう?
そこで、筆者は話に割って入って思い切っ聞いてみた。
「ねぇ?皆、ヒャダインはどうなったのかな?」
筆者の言葉に一瞬、皆が静止した・・・ように感じた そう感じたのは筆者だけだったのかもしれない。
それほどまでに、皆の反応を聞くのが怖かったともいえる。
そんな筆者の心中をあざ笑うかのように、ひとりの友人から次いで出た言葉は
「ヒャダイン? は、何だっけそれ」
衝撃である。彼の中ではヒャド系は元々、3段階、即ちヒャド・ヒャダルコ・マヒャドなのだろう。
そう、この5作目でヒャダインが消えたのは確からしい。しかし、その事実よりもショックだったのは、この友人がヒャダインの存在を忘れていたことであった。
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