第2話 幼い日

アパートの裏側に、大きな穴が開いたフェンスがある。

そこは近くのどぶ川へ続く秘密の近道だった。


家に帰る時その穴を通ろうとすると

怖くて動けなくなった。


巨大なクモが穴の近くに巣をはっていてこちらを見ていたのだ。

誰かに助けてもらおうとしたがあいにくわたしは一人でここにきている。


しばらく立ち尽くしていたが勇気を振り絞って穴に飛び込んだ。

後ろを振り返らずにアパートへ全速力で走った。


次の日フェンスをのぞくと、まるでそこには何もなかったかのようにクモはいなくなっていた。

あの巨大なクモはどこへ行ってしまったのだろう。

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