近藤史恵「タルト・タタンの夢」(創元推理文庫)
こわいお話が苦手です。
オバケとかが出てくるホラー系はもちろん、増悪ドロドロ系も苦手です。
悩ましいのはミステリ。
トリックとか推理は好きなので、基本的には読みたいのです。
ただ、次々と被害者が……なんてのは苦手ですし、犯行動機が増悪ドロドロ……なんてのもつらいです。
そんなわたしのここ数年のお気に入りは、米澤穂信さんの季節限定シリーズでした。
が、最近、そこに肩を並べる存在と出会いました。
それが近藤史恵さんの「タルト・タタンの夢」です。
とあるビストロで展開されるささやかな推理ショー。
解かれる謎も日常のささやかなものばかり。
それでも、解けた後は、幸せな気持ちになったり、うつむいていた顔をさっとあげて歩き出せそうな気持ちになります。
7つの短い作品が収録されているので、毎日一つずつ、寝る前に読んでもいいかも。
しかし、問題が一つ……。
見てください、以下の収録作品を。
「タルト・タタンの夢」
「ロニョン・ド・ヴォーの決意」
「ガレット・デ・ロアの秘密」
「オッソ・イラティをめぐる不和」
「理不尽な酔っぱらい」
「ぬけがらのカスレ」
「割り切れないチョコレート」
ええ、お気づきになられたでしょう。
そうなんです。
読んでいると、スパークリングワインを飲みながら、フランス料理に舌鼓を打ちたくなるんです!
読み終えたら、手帳に飲みたいワインリストができていました。
美味しいフランス料理とともに制覇したいものです。
わたしのお気に入りのお話は「ぬけがらのカスレ」。これがダントツ好き。
次は「割り切れないチョコレート」。
どのお話も美味しそうなのはもちろんですが、ちょっと幸せな気分になれるお話。
過去に戻ってやり直すことはできないけれど、きっと、この後、今できる精一杯の幸せが訪れている……そう思える物語です。
ヴァン・ショーでも飲みながら、今宵も本を開きましょう。
きっと心もお腹も満たされるでしょう。
(お腹は気のせい!)
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