優先順位を決める

 ぼくはこれから,何事にも優先順位を決めながら生きていきたいと思う。これからの人生で優先順位を決めて生きていくととても有意義な時間を過ごせるのではないだろうかとわくわくする。なぜなら,ほとんどの小学生は物事の優先順位なんて全く意識せずにただのうのうと欲望のままに生きているからだ。ゲームをしたければ飽きるまでやり続け,実際には飽きることなどないから食う寝るを忘れて精神に異常をきたし,あなたが注意しないからよだなんて夫婦げんかにまで発展する始末らしい。子どもというのは,ぼくたち当の子どもが思っているよりも大人にとっては厄介な生き物であり,それに一日中付き合ってやるよりかはタブレットや携帯ゲームでも持たせて気のすむまで遊ばせてやる方が楽なようなのだ。もちろんぼくは携帯ゲームなどに興味はないし,最近知った言葉で言うならば生産的な生き方をしていきたいと考えているからゲームをして時間を浪費するといった非生産的なことに時間をあほみたいに費やしたくないのだ。少々口が悪くなってしまったが,三浦くんや佐藤さんは快楽におぼれて無制限にゲームをするなんてことは一切ないし,教養の深い人たちである。ぼくは彼らとともに成長して立派な大人になりたい。そのために,当面のぼくの最優先事項は「佐藤さんと仲直りする」ということになるだろう。明日からもそのためにできる努力をしていかなければならない。

 明日,学校に着いたらまずは佐藤さんに三浦くんと三人で一緒に帰ることを提案してみようと思う。そんなことを考えながらロマンチックに星空を眺めてから布団に入った。流れ星でも流れたら仲直りできるようにおまじないをかけようと思った。人生で一度も流れ星を見たことがないぼくにとってはそんなことは起こりそうもないように思っていたが,案の定流れ星は見えなかった。あれはおとぎ話の世界の話なのだろうか。そうではないことはもちろんぼくは知っている。今日もどこかぼくの知らないところで流れ星は流れている。



 翌朝目覚めると,まず何からすべきか考えた。トイレは夜中に起きて済ませてしまったからまだ行きたくはない。歯磨きは起きて最初にする行動の中の一つだが,朝ご飯を食べるのその前に歯を磨くのは納得がいかない。「歯を大切にしなさい」とお父さんは言うけれど,ぼくに言わせれば起きて歯を磨き朝ご飯を食べては歯を磨き,給食を食べた後も晩御飯の後も,ひどい時にはおやつの後にも磨いて一日4,5回歯を磨くのだ。これでは歯が削れて若くして歯と歯の隙間が悪い薬をやっている人のように空いてしまうのではないかと心配してしまう。それに効率も悪い。効率の良さを話をするならば,寝る時には学校に来ていくポロシャツを着て寝るのがぎりぎりまで寝ることが生活スタイルとしては効率的で睡眠時間の確保の観点からも脳に良いのだけど,一度実践したときにこれまたお父さんにこっぴどく怒られた。お父さんは頭がいいけれどときおり頭が固くて非効率なう行動を強制する。だけど,大人になるということは頭が固くなってしまうことでもあるのだし,お父さんのことは好きだからそこまで反抗する気にもならない。ぼくはぼくで今の家から柔軟な考え方と柔らかい脳みそを作って少しでもこの柔らかい頭をキープしようと今から取り組んでいるところだ。

 そういうわけで,最優先事項はいろいろ悩んだ挙句朝ご飯をまず食べることとして,そのあとに歯磨きをした。最後に少々非効率的ではあるが前の晩に用意しておいたポロシャツを着て学校へと出かける準備を済ませた。

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