メロウズナイト AM:04

メロウズナイト AM:04

 朝が来る。


「寝れなかったなあ」


 なにも、解決できてない。


 眠りだけが疎外されて、また今日が始まる。


「休もっかな」


 解決できてないのに行っても、何も役立たないし。


「だめだなあ私」


 好きなひとと一緒のグループになって。張り切って。空回りして。結局こうなる。


「休んだら」


 好きなひとに会えない。


「でも、このまま」


 何もできず行っても、どうしようもない。


「詰んだなあ」


 おなかがかゆい。蚊に刺されたかも。


「なんなんだよもうっ」


 かゆいよ。


 せっかく寝ようとしたのに。


 ゆっくり起きて、虫刺されの塗るやつを探す。ネグリジェが引っ掛かって、うっとおしい。


 ようやく塗って、ベッドに戻る。


 もう休む。


 寝る。


 もう、どうにでもなれ。


 端末が光って、震える。


「なんだよもう」


 次から次へと。蚊の次はなんだ。


 いま何時だと思ってるんですか。


「四時かあ」


 寝落ちするには充分な時間じゃないですか。連絡してくんなよ、ちくしょう。


「えっ」


 好きなひとから。


「うそ」


 連絡先教えてないけど。


『グループのところから個人で登録しました。夜中にごめんなさい』


「うわあ」


 読んじゃった。通知。相手に通知いっちゃったよ。


 とりあえず、無難に返す。


『登録ありがとうございます。どうしました?』


 そもそも、なぜ連絡を。


『なんか昨日から、あなたにタスク振りすぎだと思って』


 いやまあ、わたしが張り切っただけなので。はい。


『煮詰まってないですか?』


 なんて応えるのが正解だこれ。わかんないな。いえすと答えればただのばかだし、のうと答えれば嘘だし。


『どうして?』


 うっわ。さいあくな返ししたよ私。これはだめだよ。聞き返すのはだめよ。


『すいません。さっきまで、作業してて。疲れてつい連絡してしまいました。忘れてください』


「ん?」


 作業。


『なんの作業ですか?』


『グループのタスクを』


『あなたが?』


『あらかた終わりました。迷惑だったでしょうか?』


『えっうそ』


 どうすんのこれ。


『ありがとうございます』


 言うか。隠しようもないし。終わったらしいし。


『じつはどうしようもなくて、一晩中うなってました』


 うわあ。事実だけど、ふがいない。仕事できなさすぎか。


『僕もです』


 あなたもかよ。でも終わったんだろタスクは。


『終わらせるものは終わらせたので、今日、グループを休んで、どこか行きませんか?』


「うそ」


『いいんですか?』


『すいません。つい』


『いえ。ぜひ。行きます』


「あっでも」


 そろそろ眠い。安心したら身体が入眠体勢入っちゃった。


『ごめんなさい。ほっとしたら、眠くなっちゃって』


『僕もです』


「どうすんのこれ」


 どうすんのこれ。まじで。


『起きたら、連絡をください。私も、起きたら連絡します』


 最後の力をふりしぼって、送信した。


『おやすみなさい。また今日、会いましょう』

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