私は聖女じゃない?じゃあいったい、何ですか?
花月夜れん
第一章・光の精霊の国
01話・召喚されてしまいました
ぴるぴると動く猫のような耳。1つにまとめられているが長くて
ーーー
「はぁ、残業のせいで会えなかったなぁ」
いつもの帰り道。いつものマンションの玄関。家に帰りついてオートロックの玄関の扉を開いたところだった。
「リサ――――――」
誰もいなくなった玄関の扉がバタンと音を響かせた。
ドスン
「いたっ……ぁ……」
ジャンプを失敗して落ちたくらいの衝撃がお尻にあった。お尻をさすりながら、まわりの景色を見回す。いつもの見慣れた玄関じゃない、冷たい床と大きな魔法陣。いったいここはどこ?
少し離れた場所に目をまん丸にしたここの衛兵さんだろうか、中世ヨーロッパなどで着ていそうな
あの人なら、ここがどこか知っているだろうか。私は立ち上がり、ゆっくりとその人に話しかけることにした。
「あの、すみません……」
言葉は通じるだろうか? と、ふと考えたがどうやら問題はなかったようだ。驚いて止まっていた衛兵さんの
「その場で動かないで下さい!」
「あ、はい」
言われるまま、ぺとりともう一度私はその場に座り込む。
もう一人いた相方の衛兵さんに、何か話しかけてから彼はバタバタと何処かに走って行ってしまった。
どうしたらいいんだろう。
もう一人の衛兵さんはこちらを見ながら? が頭の上に浮かんでいた。私もたぶん? が三つ位、頭の上に浮かんでいただろう。
「君が、この魔法陣から現れた者か?」
少し時間がたってから、先ほどの衛兵さんと一緒に
「はっ、こちらの女性が先ほど光とともにこの部屋に現れました。間違いありません!」
「そうか、名を、聞いてもいいか?」
彼はスッと近づいてきて、キレイな顔で聞いてきた。キラキラと輝くエメラルドグリーンの眼は真っ直ぐこちらを見ている。まるで、何かを見極めようとしているようだ。
手を差し出され、その手に掴まるとゆっくりと引き上げられ私は立ち上がる。
彼からすぐに手を離して、スカートを整えるため軽く撫でた。
「えっと、私、
「リサか。私はこの国の第一王子カトルと言う」
あ、本当に王子様なんだ。どうりで全身キラキラしているわけだ。
私がカトルと名乗った王子様をじっと見ていると、彼は床を指差してこう言った。
「君は、聖女召喚の魔法陣の上に立っている」
王子様が
えーっと、聖女? 召喚? 魔法陣?
「んっ?!」
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