#7 ちょっと一息。

「おつかれー!」

そんな佑の元気な声が部屋に響いた。

「おう。」

二日目も無事に終わり、私は部屋でまったりしていた。

「……おい、ネット依存。」

「え、何そのあだ名~w」

そう言いながら、佑に話しかける。

「いや、スマホから離れて二日だけど、精神平気かなって。」

そんなことを聞いてみる。

「いや、平気じゃないわ。」

「…いや、去年までの君の生活になっただけじゃないん?」

「言わないで。」

そう言いながら佑は苦笑していた。

そして佑がシャワーを浴びに行っている時、私は部屋についているテレビをつけた。

「……いや、なんで最初がEテレなん?」

そこでタオルで髪の毛の水っ気を飛ばしていた美幸に聞いてみると、驚きの返答が帰って来た。

「……昨日の夕方、終わった後に君がDownして寝ていた時に私と佑で見てたんだよね。」

「へえ…って……忍たま乱太郎?!」

「あ、そやな。」

「え、私、見たことないけど。」

「え」

「いや、言ったじゃん。低学年の頃はほぼ毎日のように習い事があったから、この時間帯のテレビをあんまり見てなかったって。」

そう言うと、美幸はあーっと言っていた。

「にしても…意外に面白いんだね。」

「でしょ?」

私が思ったことを言いながらもEテレの子供向けアニメに夢中になってしまった。



***



「……え、そっちもEテレ見てたの?」

「うん!」

「ええ…、」

夕飯の時間になった。一応ご飯はスキーの班ごとに取るので、他の五人と合流してから食堂に向かっていた。その時、春佳ちゃんと教室終了からこの時間までの過ごし方を話していると、そういう話になった。

「えー、はなかっぱ、みた?」

「一応見たけどさ……」

「え、あの花、なんだろうね?」

「え、そんなまじまじと見ていたわけではないから何の花だったか覚えてないんだけど。」

春佳が興奮気味に私にアニメの内容を話してくるのだが、私は忍たま乱太郎の後はながら作業で見ていたので、そこまで覚えておらず、否定をした。

「えー?!じゃあ、テレビ見ながら何かしてたの?」

「ご名答。」

「え、することあった?」

「あったでしょ。学校指定の振り返りシートとかね。」

そう、かなり前にも言ったが、これは学校のスキー教室。楽しむだけではなく一応ノルマがあるわけで、そのノルマの一つに毎日振り返りシートを記入し提出しなければならないのだ。

「あー、あること忘れてた。」

「え。」

そんな春佳のドジっ子エピソードを聞きながら食事を楽しんだ。



***



「あの人、28歳で結婚済みなんだって。」

「それで普段は米農家らしいよ~」

夕飯後、班のミーティングが行われた。

その時に雑談をしていた時に、結さんと雪さんがリフトの最中で聞いてきたコーチの情報をみんなに教えてくれるという時間ができていた。

「へえ。まあ、年齢は納得ね。」

そんなことを言う春佳ちゃん。

いや、誰目線だよと私は一応心の中で言う。

「でも、結婚してるようには見えないよね。」

佑はそう言いながら、班ミーティングで決まったことをメモしていた。

と言っても、明日の班の目標とかだけなので、すぐ終わりそうだ。

「うん、モテなさそう。」

そう心ちゃんがきっぱり言うと班全体で思わず笑ってしまった。

「いや、それはそう。」

美幸がそう言ったりしていた。



「まあ、三日後スキー教室終了後には全く関係ないことなんだけどね。」

私は冷たい空気を流してしまうような冷静な言葉をそっと口に出した。





***



ちょっとだけ休憩出来たな。


でも、今は楽しい時間だったから忘れてしまったけど、忘れてはいけない午前のがある。


今から、また、茉緒に会って、話したいな。


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