第355話 盆の月子のゐる幸とゐない幸



 

 旧盆とも呼ばれる盂蘭盆会うらぼんえは、よかれあしかれ血縁を思い出させる年中行事ですが、昨今の多様な生き方とベクトルの方向性が合わなくなって来ている一面も……。


 ことに、十年一日の如く旧弊な考え方を脱せずにいる舅や姑から、子どもの有無を話題にされる妻たちの苦悩は、夫の実家への足を遠のかせることになりかねません。


 子どもがいればいたで幸も悩みもあり、いなければいないで別の幸も悩みもあるのですし、親族といえど、個人の生き方に口を出す愚かしさはいささか時代遅れかと。

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