第299話 長梅雨や漆器の店のほの灯り
城下町のシックな蔵通りは、本来なら観光客が引きも切らないメインスポットですが、コロナ禍に見舞われて以来、うそのようにさびしい無人の街となりました。
その通りのなかほどに地場産の漆器を販売する小さな店があり、暗い照明の店内から降りしきる雨にみかん色の灯りを滲ませ、来る当てもない客を待っています。
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