第265話 海遠き上州路なる麦の飯

 

 

 

 

 山また山の上州路には、曲がりくねった街道のあちこちに、

 

 ――麦とろ。

 

 赤い地に太い白抜き文字の幟旗がひるがえっていました。


 そのうちの1軒に入ってみると、期待に違わず質朴そのものの麦とろが……。

 日当たりのいい窓辺で昼寝をしている猫からも、麦の匂いがするようでした。

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