転生したのでVtuberになってみた
桜月詩星
目覚めたらAIになっていた
お馴染みの白い空間
ふと、目が覚めた。
辺りは白く、ひたすらに白い。
「あれ、ここどこだ…?」
僕は、そう呟かずにはいられなかった。
それほどまでにこの空間は白かった。
「確か、MRIの中に通されて…」
そう、僕は病院に検査にやってきてMRIの中に通されたのだった。
しかし、そこからの記憶がどうやっても思い出せない。
周りに医師や看護師どころか、機械やベッドさえ見当たらない。
もしかしてここは死後の世界なのだろうか?
「まさか医療ミス…?」
確かに磁場や電磁波を利用している機械だが、そんな事故が今どき起こりうるのだろうか…?
それに、だとしたら今自分はなぜ意識があるのか?
白い何もない空間には一つだけ心当たりがあるが…
「もしかして、これが噂の異世界転生…?」
定番はトラックに轢かれるというものらしいが、病院の検査で転生することもあるのだろうか…?
でもこの何もない白い空間はこれ以外考えられない。
「とりあえず、白い空間という展開なら神様が来るはずだな。」
テンプレは、神様が突然現れて、ステータスを授けてくれたり、転生前の説明をしてくれるというものだ。
いずれにしろ何らかのアプローチが来るはずだから、それまで待ってみることにしよう。
………
しかし、いつまで待ってみても何も現れる気配がない。
「ほんとにこれ、異世界転生…?」
白い世界に放置なんてことは聞いたことがない。
少し疑わしくなってきた。
おまけに、何もないところにずっと一人なので退屈してきてしまった。
「独り言だって増えるよなあ…」
元々独り言の多い性格だったが、何時間たったかも分からない時間を一人で過ごすと、ますます増えていくのは当然のことだった。
ほんとにこの空間は何もないのだろうか…
しばらくの間歩き回ってみたが、ただただどこまでも白い空間が広がっているだけだった。
そろそろ退屈で発狂しそうだ。
「んーせめて何かあるところに行きたいな…」
そう呟いたとき、目の前に一つのウィンドウが開いた。
「うわっ。ステータスオープンなんて叫んでないぞ。」
異世界転生ものでウィンドウが開くものなんてステータスウィンドウしか心当たりがない。
そう言いつつ、そのウィンドウをのぞき込むと、期待とは裏腹にそれはとても見慣れたものだった。
「え…?これ、Windowsのエクスプローラーじゃ…」
そう、開かれたウィンドウにはデスクトップやドキュメント、ピクチャといった見慣れた文字が並んでいたのだ。
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