ここは椒図の腹のなか

宮守 遥綺

雨と子ども


ざあざあざあと、雨が降っておりまして。

小さな小さな長靴の、幼い脚が踊ってる。

ぴちゃぴちゃぴちゃと、跳ねる雨。

くるくるくると、回る傘。


雨の世界を聞きながら、小さな子どもは駆けだした。

あふれる音は面白く、けぶる世界は面白く。

子どもは夢中で跳ね回る。



いつしか大人になったなら。

この子も「雨はうっとおしい」と、思うようになるのだろうか。


いつしか大人になったなら。

この面白さを、失くすだろうか。



ざあざあざあと、雨が降っておりました。

踊る長靴すでに無く。

空には虹が、あるばかり。

雨の中にいた幼子は、今は何処にいるのだろう。



*TwitterのDMグループ「ノベリ隊」SSお題「雨・虹・長靴」より



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