第8-04話 生者の書と始末書の山
2035/09/25 19:00 六甲山中の山道終点
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「副長! 背後に人影が!!」と私が叫びレーザーポインタを飛ばします。
「なにぃ! 真後ろか!!」とおっしゃって
「嬢ちゃん撃つなよ。そりゃ味方か何かだ!」と長良副長がおっしゃいました。
もう一つレーザーポインタが飛びます。
「確定じゃあないでしょう?」とおっしゃいました。
人影は徐々に明かりを増していき、光を放ちそこに現れました。
「班長か!?」と副長がおっしゃいましたが、すぐに逃げに掛かりました。
後衛の我々と同一線上まで戻り、「手に本、持ってねーかアレ……」とおっしゃったのです。
しかしながらもうすでにフラフラのようでいつ崩れてもおかしくない状態でした。
白く輝く球をお持ちのようでしたがそれは直ぐに消え無くなりました。
後は班長と白い鈍く輝く本だけでした。
そして班長が崩れ落ちそうになりました。
三人で前のめりに沈み込む班長をとりあえず支えに行きました。
本は左手に持っておられ、私のほうに接触しましたが致し方ありません不可抗力です。
「また呪われたかな? 俺ら」と長良副長がおっしゃいました。
「副長より、副課長へ班長を保護したので、救護班を山頂方面から回してください。山頂方面に近いほうより現れたので重い機材を持ったままだとこっちに来れない可能性があります。それと班長は例によってまた本のようなものをお持ちです。先鋒組は全員感染者とおもわれます」とおっしゃったのです。
「こちら副課長、本の概要を知らせてくれ」とおっしゃいました。
「
「こちら副課長、多分それそのものに害はないはずだ。救護班は北側に回って班長の回収を実施してくれ、それと救護班の
「
「こちら風祭、さっきまでの
「班長が返ってきた、多分
2035/09/25 19:30 六甲山中の山道終点
「先鋒班のみんな無事か? 上に車を止めて来た」風祭仮班長がおっしゃって、高木さんと降りてこられました。
「班長と装備がソコソコ重いんだ。本の重量も気にかかるが。俺の疲れもあるかもな」と長良副長はおっしゃいます。
「班長の衰弱加減が気にかかりますがよくわかりません」と私が付け加えました。
「あたしに任しときな」というと高木さんが班長を抱えました。「これくらいなら重いうちに入らねーぜ」といってお姫様抱っこの後、予備車へ抱えて行きました。
「先鋒班も一緒に乗ってくれ車両のところまで乗せていこう」と風祭仮班長がおっしゃいました。
「高木隊員は班長のポケットからバンのカギを拝借しておいてくれ。折神隊員と周防隊員が下で待ってるからな」とおっしゃると華麗な運転で重たい車重のバンを苦も無く運転し下の登山道の入口まで運転したのでした。
……
2035/09/26 08:30
━━━━━《ラウ視点》━━━━━
「なんで今日は班長が居ないんだ?」と所用から帰ってきた俺がいいました。
「こんどは本でも触ったんですか?」と佐須雅隊員が突っ込みました。
「仮班長は今日は風祭さんだからな」と副長の長良さんがいいました。
「まあ今回の件は、まだ片付いて無いからな」と風祭仮班長がいいました。
「すべてケリがついたら班長が話すだろう」と班長の机を見た風祭仮班長でした。
2035/09/26 17:30 検非違使神戸分署仮八課棟第七班班室
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そして本に触った、私と温羅さんと長良副長は健康診断を受けることになりました。
そして受けた結果、何も異常はないという結果を得られたのでした。
「あー、隔離されるのだけは、二度目はご免こうむりたいからなぁ」とおっしゃり「特に何もなくて良かったな」とこちらに向かっておっしゃったのでした。
そこに副課長がやってきました。
「検診の結果は白だったろう? かなり前に文献で読んだことがあるんだが、あれは生者の書と言うものではないかと思う。『白くわずかに輝き古書の形態をとるもの、それすなわち生者の書である、
2035/09/27 09:30 検非違使神戸分署仮八課棟第七班班室
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「今回の件の不始末の後始末をたっぷりと書いてくれ」と副課長にいわれ私は貰ってきた本と同じ厚みの始末書を書かされていたのでした。
書き上げるまでにかかった時間はたっぷりと五時間かかったのでした。
さらには運の悪いことに、一昨日の事件以降丸一日休息をとらねば体力が回復しなかったというのも災いしていたのでした。
流石に、当日居なかった二人、ラウ隊員と佐須雅隊員には何の事かさっぱりわからないといった様子で、通常業務をこなしていたのはいうまでもありません。
◇
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因みに班長が、二十五日の詳細について口を閉ざしたままだったのは、いうまでもありませんでした。
第9-01話へ
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