勇者召喚されたんだが、俺だけ職業未定でした。~そこから職業不定で無双する?~
鍵森 裕
1章 召喚
第1話 巻き込まれました
放課後、図書委員の用事があって生徒会室に行ったんだが、ノックもせずに入ったのが、そもそもの間違いだった。
床が絶賛エフェクト中。
「失礼しましたー!」
これは、
掴んだのは、この学校の女王。生徒会長の
1学年上で俺の憧れでもある超絶美少女だ。
しかし光に呑まれまいと必死の形相で俺につかみかかる表情は、いわゆる百年の恋もなんとやらである。
俺も巻き込まれてなるかと、踏みとどまるが、物凄い力で引っ張られる!
あー。でも御手洗生徒会長って、きっとこの状況を理解してるんだなぁ……と、ちょっと親近感がわいたりする。
その反対に、何が起こっているのか理解できてないのがイケメン細マッチョの副会長、片桐えーと……確か雄也先輩。
中途半端に上げた右手をこちらに向けて、ポカーンと間抜け面している。そのさまよう右手は何を掴もうとしているのか?
激しくなった魔方陣のエフェクトと、俺にしがみつく御手洗会長を交互に見てオロオロしている。
そんなんじゃ、この先苦労するぞー!
アドバイスの一つも送ってやりたいが今は自分のことで精一杯だ。
しかし急展開の、この一瞬に色々考える事が出来るもんだなぁ! と呑気な感想が浮かんだ。
途端、意識が飛んだ。
* *
気づくと、俺はひんやりとした石造りの床に頬をつけて横たわっていた。小さな砂粒が頬にあたって微妙に痛い。痛みが、これは現実なのだと認識させた。
更に気づくと……御手洗会長の生膝が目の前にあったりするではありませんか! 現実万歳。
「しっかりしなさい、大丈夫?! あぁ、どうしよう。私のせいで……」
異世界召還だよな。やっぱり、これ! どうやら御手洗会長は、俺を巻き込んだ事を気にしているようだ。クールな外見なのに、思っていたより良い人かも?!
片や、あちらでは副会長片桐雄也先輩が、神官らしき一団に事情を聞いている。というか、文句を言ってるみたいだ。
つまり俺一人、気絶してたのか! だせー。自分で言うのもなんだが、さすがモブ。
「いったい、ここは何処なんですか? 貴方がたは、いったい……」
おいおい片桐先輩、近くに槍や剣を持った騎士が大勢いるんだぞ! もそっとソフトな態度で接した方が良いんじゃないですかね。
まあ、あちらは片桐先輩にお任せしよう。
「貴方しっかりなさい。早く目を覚まして!」
そういうわけには、いきません御手洗会長!
何故なら、貴方が揺すって声を掛ける度、胸部装甲が俺の頬に触れるのだ!
腰まで伸びた貴方の長い黒髪が、俺の鼻先をくすぐるのだっ!!
ふわぁん、良い匂い。うん、もう少しこのままでいよう。
さて、せっかく異世界に来たんだ。俺は期待を込めて、あれをやることにした。
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