正義は勝つ のかしら

 ヒーローが悪者をやっつけて、正義が勝つ物語、人気ですよね。私も大好きです。半沢直樹はかなりハマりました。逆に、ヒーローが志なかばで死んでしまったりするエンディングは悶絶もんぜつします。そういうのも好きなんですけど。


 実際には、正義が勝つことは少ない気がしています。歴史をふりかえってみれば「勝ったほうが正義」のくりかえしです。搾取さくしゅして征服したほうが正義になり、負けたほうが悪者です。わかりやすい例えは、桃太郎でしょうか。


 ここで一句。


 虐殺ぎゃくさつも 勝ってしまえば 鬼退治


 ぎゃー! こんな重くるしい俳句をよんでしまった理由は、ただ単に語呂がよかったからです。御免!


 ゆるいエッセイのくせに、なんか物騒ぶっそうな話でごめんなさい。今連載中の「悪者は、やっつけない」を書いているせいで、このへんをグルグル考えている今日このごろ。(今は掲載していません。ごめんなさい。)


「勝ったほうが正義」の構図は、夫婦だとか、恋人同士でもよくある気がします。やっかいなのが、夫婦や恋人同士だと、無自覚にこの構図になっちゃってることが多いと思います。自己中心的で弁が立つほうが勝ってしまって、負けたほうも自分が悪いと思いこんでしまうことがあります。


 弱い者になることで相手の自由を奪うような、高等技術もあると思います。そうすると、搾取さくしゅされている側が悪者になるという、変なことも起こります。あー、わけわかんなくなってきた。


 さらに、愛しあってるカップルだと、そういう構図がプレイとしてちゃんと成立しちゃうんですよ。その構図にお互いに救われていることがあると思います。どんなにゆがんでても、愛は愛。冷めると地獄。ぎゃー!


 小説や映画なんかだと、負けてる人を見て、イライラすんですよねー。その人が被害者だとしても「しっかりしろ!」と言いたくなります。かわいそうだけど、この反応は正しい気がします。だってさ、負けたら淘汰とうたされてしまうから。どんなに相手が理不尽でも、そこで負けたら相手が正義になってしまう。だから、自分が書いている登場人物たちには、最後に自分の力で勝ってほしいんですよ。登場人物全員に、それぞれ勝ってほしいので、落としどころを見つけるのが難しいんでちゅう。


追記:西フロイデさんの「改稿・校正作業日誌」を読んで、今回のエピソードでやたらと漢字にルビをふってしまったかしこまりこです。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054934689289

「やたらとルビをふれ」なんて、一言も書いてないんですけど(笑)。

「本にする」過程をライブで更新されているんですが、個人的には、お役立ち情報満載だと思っていて、バイブル認定しました! 西さんの、創作に対する真摯しんしな姿勢がシビれます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る