森林撲滅運動
昔地球は青かったといった人がいたそうだが、今の地球はきっと苔よりも濃い緑色だろう。人類は緑に負けたのだ。
植物が地球を埋め尽くすことで、マスクなしでは呼吸がままならないほど酸素が濃くなった。生き物も山ほどふえた。それに伴いウイルスや細菌が増した。緑の成長、それに伴う病原菌や生き物の成長に人類の技術は追い付かず、多くの都市は滅びた。そんな環境で僕らはいま生きている。
まだ、地球がそれほど暑くなくて雨も少なかったころの話だが森林保護運動が盛んだったと聞く。環境保護が目的だったと聞くが、森林保護を訴えた人々には今の緑に包まれた土地をみて満足するのだろうか。
ちょうど歴史に名を遺すウイルスが流行った時期に、異常気象か奇跡か、はたまた人々の努力が実ったのか(そんな努力は実らなくてもよいのに)砂漠に緑が生えた。砂漠というものが僕には想像もつかないが乾いた土が延々と続く土地のことをいう。植物が生えることがない!なんと素晴らしいことだろうか!
この頃に森林保護運動に反対する偉大な人物が現れた。その運動は当時の人々に『森林撲滅運動』と揶揄されたらしい。相当に当時の人らにとっておぞましい存在であったらしく名前は残っていない。しかし英雄だと僕らは信じている。
緑に対するものとして『レッド』と僕らはその人物のことを呼んでいる。
森林撲滅運動はレッドが死ぬまで続いた。政府にを訴えたり、科学者と協力をして緑を殺す技術を確立させようとしたり、森に火を放ったり、方法は様々だったがレッドが死んだあと受け継ぐものはいなかったらしい。
レッドは死の間際、巨大に広がった森林を前にこう言ったとされる
「地獄の色はきっと緑色に違いない」
僕らは緑の地獄に生きている。
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