閉ざされた恋人たち

長月瓦礫

6番目の記憶


「今度は言えるといいね。『さみしかった』って」

久々に再会して、いたずらっ子のように笑っていた。


「あなたに会えて本当によかった」

いつかの夏の日、私の顔を両手で包んだ。


「誰よりもあなたを愛しています」

顔を赤らめながら、指輪を受け取ってくれた。


それは遠くへ過ぎ去ったあの日へ導く希望の言葉たち。

それは二度と取り戻せないあの時へ戻る希望の言葉たち。


かつて通ったはずの道は、記憶の雑草にまみれてしまった!

大切な物をどこに置き忘れてしまったのだろう?


私は、忘れてはいけない何かを忘れてしまった。

忘れたことすら忘れてしまったのだ!


そのことに気がついた時には、すでに遅かった。


何もかも。何もかも。手遅れだったと人々は言った。

何度も。何度も。何度も。どうにもならないと人々は言った。


その言葉は私には届かなかった。響かなかった。

そして、失望してしまったのだ。無責任な彼らの言葉に。




分からないのだろう!  心に穴を空けられた辛さが分からないのだろう!

分からないのだろう!  心の穴を埋められない辛さが分からないのだろう!




遠い記憶と一緒に置いてきてしまった! なんということだ!

膝をついて神に願っても、返してもらえないのだ。

自分自身で思い出すしか、他に方法がないのだ。




ああ、額縁に閉じ込められてしまったのだ。

悲しみの影が残る私の恋人は、記憶という名の美術館に囚われ続けるのだ。


鳥かごにいるカナリアが自分から鍵を開けられないのと同じだ。

私が籠から出してやらなければ、自由になれない。

私が過去を思い出さなければ、自由になれない。


未来永劫、記憶の彼方に閉じ込められるのだ。


それだけは、なんとしても避けなければならない!

あの日へ帰るための鍵を探すのだ! 扉の鍵を探すのだ!


記憶の美術館を開くために!


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