南の海の島のうたびと
安岐ルオウ
P1
はるかな南の海のあつい島に、ひとりのうたい手がいた。
どこからきたのかしれないが、
ひときわここちよい南風がヤシの葉をなぶる夜に、
白いさざ波がたえまなくたつ海から、
ざぶりざぶりとからだをゆらしながらあがってきて、
そのまま浜辺にあおむけにねころぶと、
波音を子守唄に、ごうごうといびきをかいてねむった。
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