第20話  トーナメント3戦目

 今朝は食事の前に馬の世話をしていた。騎士の愛馬だったが何故か大輔に懐き、大輔の馬になったあの馬だ。しかもかなり気難しく、基本的に大輔にしか懐かなかった。大輔がなんとかケイトの世話を受け入れるように説得し、2人で世話をしたら受け入れてくれた。今は毎日2人で世話をしている。幸い奴隷とはいえファイトマネーがあり、そこから馬房の使用料や飼い葉代を払えていた。


 朝食を食べ決勝トーナメントの第3戦に向かう。


 ケイトは送り出す時に


「今日もただいまって言ってくださいね。行ってらっしゃい」


 大輔は、手を振り行ってきますと言い出掛ける。


 今日は闘技場は仕切られていなかった。残り16人の為、1日8戦になったからだ。


 今日の相手はハルバード使いだ。

 170cm位で小太りだ。

 しかし筋肉隆々で片目は眼帯をしている。ハルバードは2.5m位はあり、大輔にとって未知の武器であり、リーチからどうやって切り込むか頭が痛い。こういう事もあり鞭を持っている。


 鞭は3m程ありアウトレンジから攻撃できるし、絡めとったり出来て便利なのだ。実はかなり高価な鞭らしい。毎日鞭の稽古をしていたが、全て独学だった。座には鞭の使い方が分かるものがいなかったからだ。スキルで攻撃は出来るが、大輔の思う使いは方はスキルに無かったのだ。相手の武器を絡めて取ったり、脚などに絡めて転倒させる目的だ。補助具としての意味合いがある。


 今回の武器は剣、盾、折り畳みナイフ、鞭だ。


 相手はふてぶてしい感じで、対峙して感じるのが


「こいつ強い」


 だった。


 試合が始まり、剣で斬り込むがハルバードに阻まれ中々懐に入れなく次第に防戦一方になる。


 大輔はハルバードの一撃を剣で受け止めたが、吹き飛ばされた。


 そして再びダイスが手に握られる。


 拾ったら途端に手からこぼれ落ち、77に。


 ゾロ目のラッキーで何かありそうな気がした。


 鞭に切り替え、足で距離を取り鞭で体を打っていく。切り傷が出来るが、致命傷にはならなず怒らせるだけだ。


 大輔の狙いは怒らせて大振りな攻撃を誘い、ハルバードを絡め取る事だ。または、脚に絡めて転がす。


 そしてハルバードの間合いに入らせると大振りな一撃が来た。


 ハルバードを狙い鞭を放ったが、ダイスを踏んでしまい手元が狂ったが、目に当たる。


 血飛沫と共に眼球が潰れたのが分かる。


 決勝トーナメントは敗者にも高価な治療が可能だ。

 なので失明させても気にならない。


 相手のヘルムは目の部分が横長のスリッドになっていたが、ラッキーな事にスリッドに鞭が入った。


 そして目を押さえのたうち回っていた。


 大輔は後ろに回り込み蹴りを入れ、地面に転がしてから頭を剣で打ち付けて気絶させた。暴れていたからだ。


 大輔は両手を掲げて勝利の雄叫びを上げた。


 そして司会が大輔の勝利宣言を行ない、大輔は拍手喝采を浴び、興奮していた。


 しかし、初めての激しい戦闘に大輔はクタクタだった。治療師に治療して貰ってからケイトの元に行く。


「ただいま!ごめん勝ったけど色々汚しちゃった」


「ダイス様が生きて帰ってくれればケイトはそれだけで良いのです。お疲れでしょう?さあ鎧を脱ぎまちょうね」


 子供に子供扱いされているが、ケイトは良くしてくれる。


 この2戦で分かったのは、やはり能力が発動されるのは相手の死亡時だけだという事だった。


 鎧を脱いだ後は湯浴みに出掛け、戻るとケイトのマッサージだ。疲れが酷く、明日に備えて今日は体を休める事にしたのであった。

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