第16話 予選
今朝はご機嫌なケイトに見送られて大輔は部屋を後にした。
まずは練兵場に併設された各座の部屋に行く。
一緒に行く2人と合流する為だ。
2人は鎧を着込んでいるが、大輔の装備は金的攻撃から股間を守るガードと初戦の時にどこからともなく落ちてきた心臓を守る胸当て、左腕には篭手を装着、頭には額を守るガード、厚めの革の服を着ているだけだ。そして武器だ。
なので機動力抜群だ。防御に不安があるが、機動力を優先した。
予選に出るのは一人は20歳のトーマスといい、170cm位でがっしりしている。スキンヘッドで獲物はモーニングスターだ。もう一人はギランという155cmと小柄なひょうきんな奴で獲物は短剣の両手持ちだ。こちらはぼさぼさな頭だ。
武器の種類に対する制限は矢等の飛び道具と魔法が禁じられていた。
また投擲は基本出来ない。武器の制限が4つ迄の持ち込みだからだ。
大輔は折り畳みナイフを隠し武器としている。闘技場に試合毎に持ち込み武器を登録するから、精々3本のナイフを投げるのが精一杯だ。因みに盾も武器扱いだ。
大輔は普段は剣、短剣、盾、折り畳みナイフを申告している。
今回は盾の変わりに鞭を持参する。前に拾った奴だ。
折り畳みナイフはそこそこの値段がした高級品だ。使わないのが一番だが、いざという時の頼みの綱だ。安心の地球製だ。
3人で闘技場の新人戦の参加の受付を済ませ待機スペースにいる。
他の者達も居るが、
「やべえ、死神がいやがる。うわ、こっち見たぞ」
などと聞こえる。そう、大輔は相手が不運な死に方をしているので死神と恐れられている。
大輔が鞭を選んだのは一斉に襲われるか逃げられるかのどちらかだと判断し、逃げる奴をとっとと捕まえるのに鞭を選んだ。
ちなみに予選は一勝扱いだ。
暫くして入場になる。受付の場所を確認し、なるべく受付に近い所に屯する。暫くして司会が喋りだす。
「皆様お待ちかねの新人戦の時期が今年もやって来ました!もう優勝者予測には掛けましたか?今年の新人は熱いぜ!あのダリルをあっさり殺った奴とか、不沈を引退させた奴とかがいるぜ!さあ予選の始まりだ。ルールは簡単。持ち込み武器は4つまでで、刃物の場合は真剣のみ。額にあるバンダナを3枚集めてあそこの受付に渡すかだ!但し殺したら失格だから殺さないように。先着64名が予選通過だ!それ以外はルールは無し。それでは始め!」
大輔は受付前に走る。
皆呆気にとられていた。
大輔が早々に受付に行ったからだ。
それはそれで、あちこちで戦いが始まったりチームでバンダナを集めていたりと各々の動きはそれぞれだ。
大輔達のグループが受付に陣取ったので、バンダナを揃えて受付に向かう者達がオロオロしだした。大輔達が待ち伏せしていたからだ。
早速大輔がそいつらに襲いかかり、3枚集めた奴が逃げ始めた。思い金属鎧だったので逃げられない。
後ろから飛び蹴りを喰らわせ倒し、手に握られていた2枚と頭のを奪い去り次のターゲットを決めた。見た目は強そうだが、明らかにグループから提供されたバンダナを持っていた。
大輔が斬りかかると剣を受け止め相対する。しかし、5合持たず剣を弾き飛ばされ、大輔に投げ飛ばされて気絶した。大輔がバンダナを回収しようとしたら、後ろか斬りかかる奴が居たが、トーマスが背中にモーニングスターを叩き込みそいつを倒した
「おいおいダイス、いくら予選だからって油断し過ぎだぜ。さあこれで揃ったからとっと行こうぜ」
「あははは。助かったよ。ギランに渡して帰ろっか。」
大輔はバンダナを回収しトーマスとギランの所に行く。しかし、既にギランは6枚のバンダナを持っていた。
「何遊んでんだよ。帰ろうぜ。こいつら弱くて話にならなかったぜ」
ギランの周りには気絶した奴らが6人程いた。
大輔はトーマスにバンダナを渡して、3人で受付に行く。バンダナは1枚につき金貨1枚と交換だっので、16枚の金貨をゲットした。新人戦の申込みに金貨1枚が掛かっていたので13枚の収穫だ。新入りの大輔が何かと入用だろと金貨5枚、2人が4枚づつになった。
大輔は早速服を買いに行く。今日は街へ買い物へ行く許可を貰っていた。自分の普段着とケイトの普段着、寝間着だ。安いのしか買えないが、今は各2着しか無く、無理矢理着回していたのだ。明日からの新人戦も直接小遣いが貰えるので、今日の稼ぎの殆どを使ってケイトの負担を少なくする買い物だ。洗濯物を持っていく籠も忘れない。
予選突破の褒美で街の外さえ出なければ、夕刻までに帰る許可が出ていた。
部屋に戻り買ってきた服をケイトに渡してあげると抱きついて泣いてくる。
「ケイトは大袈裟だな。それより明日からの試合に備えて早く飯食って寝ような」
「どうして私に良くしてくれるのですか?私こんなだよ?」
「うん。ケイトのお陰で何とか生き残れてるんだ。ケイトの頑張りに報いたいだけだよ。本当は一緒に選びたいけど、2人で街に行く許可が出ないんだ。だから俺のセンスで買ってるから、気に入らないかもだけど、いつか2人で、見に行こうな」
「ううん。気に入ったよ!大事に着るね。ダイス様有り難う。大好き」
抱きついて顔を大輔の胸に当ててグリグリしていたので、髪が顎にあたりこそばゆかった。
食事の後、沐浴を済ませ、恒例のマッサージをして貰い寝るのであった。
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