21.なるほど。それがこの国のやり方か?
う~ん。なめられてるよね。
俺はその言葉を受けてこう言った。
「私たちは日本国から来た正式な使者です。その使者に向けて騎士団のあからさまな敵意はいかがなもんですか?これがこの国の他国の使者の迎え方でしょうか?」
と俺は敵意をむき出しにして、いまにも襲ってきそうな一人の騎士に問いかけた。
「何を生意気に偉そうなことをいっておる。貴様ごときすぐにでも地面に頭を擦り付けて許しを請わせてやる。」
といきなり切りかかってきた。
自衛隊員が発砲しようとするのを俺は止めた。
刹那の時間で宰相の方を見ると、にやりと笑いを浮かべていた。
俺は菜月たちに合図して、馬車に戻ってもらい、その騎士の斬撃を交わした。
その後連続で剣を振ってくるが、俺から見たら、素人の遊戯に見える。
「おいおい、他国の使者に切りかかるのがお前たちのやり方だっていうんならこっちもやりようがあるんだぜ。」
と俺はその騎士が振りかぶった剣が空振りした後、頭にある兜ごと蹴り飛ばした。
その騎士は吹っ飛んで、宰相にぶつかって止まった。
「え~い。こいつらを切ってしまえ。」
と宰相が叫ぶと、騎士団員たちが20名ほどで襲ってきた。
それを見て自衛隊員の隊長が
「発砲の許可を」
と俺に言ってきたので、
「もちろん、発砲を許可する。」
と許可を出した。
実は、このパターンはすでに打ち合わせしていた。
どこかで俺たちが国王近づくのを気に入らない勢力があるという想定だ。
最悪、国王も敵ということも想定している。
7人の自衛隊員は途端に鎧ごと打ち抜いて、足を止めていった。
俺は宰相の足にも一発撃ちこんでおいた。
俺は今回の旅で自衛隊から拳銃一式を貸与されていた。
騎士団が呻き、宰相はわめく中、俺は宰相の襟首をつかんで持ち上げた。
そうしておいてから、俺はその場にいるマローンとマルクスをにらんで聞いた。
「まさかお前たちの先触れでこうなったんじゃないだろうな?端から俺たちを陥れようとしてたんならこの国交樹立の件は無しだ。」
そう言って俺は宰相の眉間に拳銃を突き付けた。
「友朗、待ってくれ。これは何かの誤解だ。わしたちは決して友朗たちを敵に回すことはない。その宰相に聞くのが一番いいだろう。」
と俺と宰相を見ながら答えた。
俺はマローンたちにも警戒しながら
「おい、おっさん。なんで俺たちを襲わせた?」
「いや…それは騎士団長が勝手に…」
「おいおい、嘘だよな。お前がさっきのやつが切りかかってくるのを見ながらも止めなかったのは、ここにいる奴ら全員で見てるんだぜ。お前本当にこの国の宰相か?」
俺は一層首を締めあげて、宰相は吊るされながら泡を吹き出した。
「そこまでにしておいてくれるか、客人。」
と一人の武人が姿を現した。
「お前は誰だ?」
と俺は問いかけた。
「おいおい俺を訪ねてきておいて俺のことも知らんのか。俺はこの国の国王のユヒト・ホシ・ゼクウだ。お前が星野友朗か?」
と俺に聞いてきた。
こいつが国王だと?
俺はマローンを見たが、彼はうなずいていた。
俺はつるし上げていた宰相をその国王めがけて放り投げた。
すると国王は身をかわして宰相を避けた。
宰相はそのままゴロゴロと転がっていった。かわいそうに。
「お前の国は面白い歓迎をするんだな。挨拶したら生意気だって切りかかってきたぞ。お前もその口か?」
と俺は銃で眉間を狙いながらそう聞いた。
マローンたちも自衛隊員たちも息をのんだ。
「だったらどうする。」
と国王が口を開いた途端、俺は撃った。
それをよけながら国王はこちらに近寄ってきた。
それを俺は拳銃をホルスターに治めて迎え撃った。
先ほどの騎士団長とやらより剣筋は鋭い。
2回、3回と避けてから、俺は左手で特殊警棒を引き抜いて伸ばし、剣をはじいた。
そしてすぐに懐に入って掌底を食らわせた。
気を練る時間が十分にあったからかなり威力の高いものが放てた。
しかし、少し後ずさった程度で再度剣で切りかかってきた。
俺はもう一度特殊警棒で剣をいなして、今度は拳銃をホルスターから抜いて膝に向かって連射した。
さすがにこれは避けられず、そのうちの一発が膝を穿った。
国王が膝をついた途端、魔力が集約する気配がしたのでそちらに向けて発砲した。
反射的に打ったせいで、頭を打ちぬいていた。
そこには魔法を発動しようとしていた杖を持った男が倒れていた。
「撤収だ。」
俺はそう言って、馬車に戻った。
自衛隊のバイク部隊もエンジンをすぐにかけてUターンした。
俺たちは城門を閉める隙を与えず、馬車での離脱を行えた。
自衛隊から城門を閉めようとしている騎士たちに銃弾が撃たれていた。
俺たちはひとまず王都を出ようと馬車を走らせていた。
俺たちの馬車の前を自衛隊のバイクが2台先導し、日本組の4台の馬車が続いた。
残りの3台のバイクは後方警戒に入っていた。
その頃になって無線が鳴っていることに気づいた。
俺は無線に応答した。
「マローンだ。とりあえず引き返してきてくれ。話がしたい。」
「お前バカか?今俺たちは殺されそうになってたんだぞ?お前の息子のロックも共にだ。お前はそれでも親なのか?」
「……友朗に不信感を抱かせたのは申し訳がない。しかし誓って私たちは今回の件に関与していない。むしろ私たちも憤っているところだ。」
とマルコスさんが言った。
「知らない、わからないで俺たちは黙って殺されてればよかったのか?お前たちの国はよっぽど腐ってるようだな。」
「確かにそのようだ…。俺は国王がこんな態度に出るとは思っていなかったんだ。この国には異世界人の伝承が残っていて、それが国の成り立ちにもなっている。だからこそ丁重に迎えてくれるだろうと思っていたのだが、この国王はよっぽど腐っていたようだな。」
と、マローンがそう言った。
俺はその口調が気になった。
「……お前、今どんな状況だ?」
と俺は聞いた。
「……お前たちが逃げるための時間を稼ぐために国王の腕を切り飛ばして人質にして、騎士団20人で馬車の陰で立てこもっている。」
くそ!
俺は停車命令を出して、方向転換し王城に向けて馬車を走らせた。
この期に及んで遠慮はしない。
俺は自衛隊から預かっていたロケット弾を城門に打ち出して破壊した。
そしてマローンたちが包囲されている中に戻ってきた。
「おい、マローン。こんな国見限ってとっとと帰るぞ。こっちの馬車に乗るか?その馬車は動かせるのか?」
俺はマローンたちの安否が気になった。
すると国王を後ろの襟首をつかみながら盾にして、こちらに寄ってきた。
マローンだ。確かに右腕がなくなっている。
「友朗、すまん。こんなことになるとは。」
「今はいいから、逃げるぞ。その国王はその辺に捨てておけ。」
と俺はもう一発ロケット弾を城めがけて発射しようとした。
そこに声がかかった。
「お待ちください、異邦人さま。父がご無礼を働いたこと、ゼクウ国を代表いたしましてお詫びいたします。」
と青年と女性が出てきた。
「私はこの国の王太子、タクマと申します。横にいるのは第一王女のミーシャで、私の妹です。」
と走り寄りながらそう自己紹介した。
俺は
「そこで止まれ。」
と拳銃を向けながら5mほどで停止させた。
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