化猫
物書未満
第1話 私のにゃんこ
「
「ええ! ……わかりました」
あーもーまたこの上司はギリギリで仕事を……これじゃあ残業確定だよぉ。
そんな社畜をしている私、「
早く帰りたいよー。うーん、でもお給料の為に頑張ろう、アレがあるからね!
――午前0時
ああ、ようやく終わった。ようやく帰ってきた。さあさあ、待たせちゃった、早く入ろう。
「ただいまー」
「おかえりなさい! ご主人様!」
部屋の奥からトテトテと歩いてきたのは銀の髪に猫耳、サファイアみたいに青い瞳、二股に分かれた尻尾の小柄な少年。そう、私の飼い猫のレンくんだ。
「ごめんねぇ〜レンくん、遅くなって。よしよし」
「んぅ〜」
すり寄ってくるレンくんを抱き上げてナデナデしながらソファに腰掛ける。レンくんはいつもいつも私の帰りを待ってくれている。
「ご主人様ぁ〜、お腹すいた〜」
「あれ? お弁当食べなかったの?」
「ううん。食べたよ。でもお腹すいちゃったんだ」
「そっか。じゃあ一緒に何か食べよ」
「わぁい!」
あああ! レンくん可愛い! 満面の笑み! 毎日毎日可愛いの連続だよー。
さてさて、何を作ろうか。夜中だから軽めの……あ、そうだ。アレがいいや。
冷蔵庫に入れてたご飯をチンして、それからかつおぶしとお醤油と混ぜて……できた!
「はーい、レンくん。できたよ〜」
「ねこまんまだ〜! ボクこれ大好き!」
目をキラキラさせるレンくん。可愛いなぁ、ホントに。
「「いただきまーす」」
二人で手を合わせて食べ始める。そして幸せそうに食べるレンくん。笑顔に癒やされるぅ。一日の疲れも嫌なことも全部忘れさせてくれるんだから凄いよね。
で、あっと言う間に完食。さてさてお次は……
「レンくん、お風呂入ろっか」
「う〜、ボクお風呂苦手〜」
「大丈夫大丈夫、一緒に入ってあげるから」
「ご主人様と一緒なら……」
さぁお風呂タイム! レンくんは猫だからお風呂は苦手だけど私と一緒なら入ってくれるんだ!
「は〜い、レンくん、ばんざ〜い」
「はーい」
レンくんの着ている膝まであるゆるゆる萌え袖シャツを脱がせる。強く抱きしめれば折れてしまいそうな色白の華奢な体があらわになる。そのまま抱き上げてお風呂へGO!
「レンくん、シャンプーするよ〜」
「うん……やさしくしてね」
シャンプーはやっぱり怖いみたい。だから毎日やんわり丁寧に髪を洗ってあげる。シャンプーを泡立てて包み込むように、猫耳にはあんまり触らないようにやさしく洗う。
「ふあ……」
「気持ちいい?」
「うん。ちょっと怖いけどご主人様がしてくれてるから」
「ふふ、すこーし耳に触るよ」
「んっ、あっ」
耳は敏感で触ると女の子みたいな可愛い声を出してしまう。それがまたこの上なく可愛い。ホントはいっぱい触りたいけどレンくんがモジモジしちゃうから我慢我慢。私が触る分には嫌がりはしないけどあんまり、ね。
さーて、洗い終わったらシャワーで流して……次は体を洗おう。
「レンくん、スポンジがいい? タオルがいい?」
「んー、やわらかいからスポンジがいい」
「はーい」
スポンジにボディソープを泡立てて、体の隅々までやさしく洗う。もちろん大事なところも丁寧に。レンくんは猫なので発情期以外は大事なところに触っても反応しないのだ。……発情期は大変だけどね。
意外にも尻尾はあまり反応しない。初めのうちは敏感だと思ったんだけどね。
「はーい、流すよー」
シャワーでやさしく泡を流す。お風呂は苦手だけどこの時は気持ち良さそうにしてる。
「じゃ、レンくん、私も洗ってくれるかな?」
「うん!」
レンくんのたどたどしい洗い方もまた一興。レンくんは臆することなく私の上半身、下半身、つまり全身を洗ってくれる。それも嬉しいなぁ。
「どう? ご主人様も気持ちいい?」
「うん、気持ちいいよ! ありがとうね!」
そう言うとレンくんは嬉しそうな顔。笑顔が眩しいな。レンくんの手で私の疲れが泡と一緒に溶け出していくぅ。
そしてそしてお次はというと……
「よーし、お風呂浸かるよー」
レンくんを抱っこして湯船へ! レンくんは抱っこしていないと湯船に浸かれないのだ!
「あったかいね〜気持ちいい?」
「うん……ちょっと怖いけどご主人様と一緒だから」
毎日毎日こんな感じなんだからもうたまんない。少しの怖さと気持ちよさが混じったなんともいえないこの表情! これが全部私のものなんだから!
さてさて、しっかり百数えてお風呂を出る。この後は体をしっかり拭いて、保湿もしっかり、髪はある程度乾くまで頭にタオルを巻いて……もちろん私もやるけどレンくんにもそうしてる。ふわふわ髪の毛とすべすべしっとりお肌を守るのだ!
「レンく〜ん? アイス食べる?」
「うん! ボク、りんご味がいい!」
ある程度乾くまでの間、レンくんとアイスタイム。棒アイスをペロペロ舐めながら食べる姿はなんとも猫っぽい。可愛い!
「ねぇ、ご主人様、明日もお仕事?」
「ううん。明日はおやすみだよ。どこかお出かけする?」
「いいの!? やったあ!」
満面の笑みで喜ぶレンくん。ああ、この顔見たくて頑張ってるんだな、私。さぁ、明日は……とりあえず起きてから決めよう。今日はもう遅いし寝よう。いい感じに乾いた髪をドライヤーでしっかり乾かして、ベッドに入る。もちろん、レンくんが隣にいる。
「おやすみ、レンくん」
「ふぁ、おやすみ、ご主人様ぁ」
そのまますぐに私達は眠りにおちた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます