第三幕 マイルームを持とう

「あれ?そういえばミアさんって、マイルーム持ってますっけ?」

「マイルームですか?持っていませんけど・・」


 ふと思ったので尋ねてみたが、案の定だったらしい。しかもマイルームがどんなのかわかってない様子。ふむ、今からやることは決まったな。

「・・というか、さかなん。今の会話からなんで「そういえば」になるん?(・・)」

「・・・いつものことでしょ。マスターの話がいきなり飛ぶのは・・」

「ん?十分脈絡あったと思うけど?」

「ないわww」

「・・ないです・・」

「ははは・・・」

「・・・ま、まぁ、ともかく、マイルームはあったら便利なんで、ミアさんに時間があるなら、どんなのか簡単に説明しますよ。テルと唯さんは持ってるよね?」

「もち(><)b」

「私も持ってますが、ちょっとわからないことがあるんで一緒してもいいです?」

「ミアさんがよければ、自分はいいけど」

「ぁ、どんなのかぜひ教えてください!」

「りょーかいです。じゃあとりあえず、PT飛ばしますね~~。」


 自分、魚の人はミアさんと唯さんにPT希望を飛ばし、PTを組む。

PTを組むことでHPなどの簡易ステータスが見れる、同じダンジョンに入れるようになる他、PTメンバーの位置をマップで見れたり、PT専用のチャット、「PTチャット」が使えたりする。

なお、本ゲームでのチャットには、周囲の人だけが聞こえる「一般チャット」、同じエリアの人だけが聞こえる「エリアチャット」、サーバー全部に聞こえる「世界チャット」、指定したプレイヤーのみが聞こえる「内緒チャット」、そして、同じギルドメンバーだけが聞こえる「ギルドチャット」が存在する。

「・・ちなみに今までの話における会話は全てギルドチャットです。他のチャットの際は<PT>「ぱーてーちゃっと☆」といった感じで、今後表記致します。」

「・・・えと、マスター?」

「でた、さかなんの謎のつぶやきww」

「・・時々出るこの謎のモノローグは、流石にどうかと思うのよね・・・」

「・・・なんだか、チャットだけのはずなのに、冷たい視線を感じる気がする!;;」

「ははは・・・」

「ほら、ミアさん「も」ひいてますよ!ちゃっちゃと話進めてください。」

「・・も、強調せぇへんでも・・・ ・・chは5、都心の自分のところまでお願いしまっす。テルはどうする?とりあえずPT組んどく?」

「ん~、いいや。クエ残ってるから、ちょこちょこ消化する。」

「OK。じゃ、マイルームの説明は、PTチャでやっとくわ。唯さんとミアさんもそれで。」

「了解。」

「わかりました。」



 ・・といったところでやってきました。都心でマイルーム借りれるNPC-名前は「リース」-前。

<PT>「・・・相変わらずキモいですね。マス・・・魚人族って。」

<PT>「言い直した!わざわざ言い直した!!;;」

<PT>「まぁまぁ・・w」

<PT>「www」

いつもの儀式?を終わらせて本題に入る。・・・魚人族、シュールで好きなんだけどなぁ・・・

<PT>「・・さて、このゲームでは都心とギルドタウンにて、マイルームを借りることができます。都心ではこのNPC「リース」に話しかけて手続きをします。」

<PT>「マイルームを借りるのに条件とかあるんですか?」

<PT>「うんと、都心ならLV30以上で500G支払えるなら誰でも借りれます。500G持ってます?」

<PT>「・・う、あるにはありますけど、全部で1500Gなのでちょっときついかもです。」

<PT>「・・私も同じくらいだなぁ。意外とお金貯まりにくいですよね、このゲーム・・」

<PT>「ぁー、んだね。ほんじゃま、説明は続けるから、最後にどうするか決めよう。うんと、マイルームを借りると、まず都心の銀行と連動したアイテム倉庫とオーダーメイド専用棚がついてきます。」

<PT>「オーダーメイド専用棚ですか?」

<PT>「そうそう。文字通りオーダーメイド装備がおける棚。実際に見せるのが早いよね。・・・って、自分ここにはないわ。タウンまでよろしいです?」

<PT>「ぁ、はい。」


 タウンに移動して再びマイルームを借りれるNPC-名前は「レゥ」-の前に集合してもらう。

<PT>「・・・やっぱりキモいですね。ぎょじんぞ・・・マスターの格好は。」

<PT>「ぇ?さっきと同じセリフに見せて、より直接的になってる!?;;」

<PT>「www」

<PT>「www」

 ・・ぃぁー、いいギルメンに恵まれてるわ。俺・・・

<PT>「・・さてさて、マイルームは都心と所属しているギルドタウンでも借りられます。他の条件はさっきと同じですが、ここで借りると家賃が発生しません。」

<PT>「家賃ですか?」

<PT>「うん。1週間毎にお金が請求されるので、それを支払わないとマイルームに入れなくなる。」

<PT>「たしか50Gくらいでしたっけ?」

<PT>「このLV帯だとそのくらいっすね。LVが上がると請求金額も上がる模様・・」

<PT>「・・週50Gはきついですね。それだとみんなタウンでマイルーム借りるのでは?」

<PT>「タウンのあるギルメンならね。タウンのないギルドや、そもそもギルド未所属だと無理な話^^;」

<PT>「タウン作るのって大変なんですか?」

<PT>「・・・むしろ、今あるのが不思議なくらい・・」

<PT>「それは言いすぎww」

<PT>「^^;」

<PT>「・・いや、結構本気だったんだけど、まぁいいやw ではNPC「レゥ」に話しかけて、マイルーム検索「魚の人」と打ち込んで私の部屋にお願いしまっす。」

<PT>「はーい。」

<PT>「・・女性と見るとすぐに部屋に連れ込むなんて、Hな魚だ・・」

<PT>「はいそこ!疑いを持たせる言い方で書かない!!^^;」

<PT>「・・なになに、男でも連れ込む? ・・・両刀使いか・・・」

<PT>「3話にしてキャラ崩壊してるぞーー!唯ーーー!!ww」

<PT>「・・唯さん^^;」

<PT>「・・・3話って、何?」

<PT>「突っ込むのそこだけ!?w」

なんか慌ただしく、俺の部屋に移動した。・・ゲームのだからね!


<PT>「・・ここがマスターのマイルーム。」

<PT>「・・・相変わらずセンスを疑うわ。お邪魔します。」

<PT>「ぁ、お邪魔します。」

<PT>「・・・・・その点に関しては否定できんわ;; ようこそ。」

俺は早速、目的のオブジェクト、銀行連動倉庫とオーダーメイド専用棚の前に移動する。

<PT>「この宝箱のオブジェが銀行と連動した倉庫。都心の銀行と同じように使えます。そしてこっちの空っぽの棚が、LV50以降から作れるようになる、強力なオーダーメイド装備だけを保管できる棚になります。」

<PT>「・・マスターはまだオーダーメイド作ってないの?」

<PT>「・・オーダーメイドは作るの面倒だからね~。まだ俺は作ってないっすね。」

<PT>「ああ、そう・・」

<PT>「面倒って、オーダーメイド装備ってどうやって作るんですか?」

どう返そうか、はたと手が止まる。う~ん、今は具体的に説明しなくていいかな。50なってからでも遅くないし。

<PT>「ぁ~、ちょっと説明に時間かかりそうだし、具体的にやれるのは50以降だから、今回は割愛しますわ。現段階では「50から作れるめんどいけど強い装備」という認識でいいと思いますw」

<PT>「・・説明逃げたわね。」

<PT>「だから人聞き悪いって^^;説明必要と思ったらやるから~。今回はマイルームの話でしょ?」

<PT>「ちっ」

<PT>「舌打ちしたよ、この人!!w」

<PT>「・・唯さん、印象が・・^^; わかりました。オーダーメイドについてはまた今度、よろしくお願いします。」

<PT>「・・私のLVは今や48。・・50になったらちゃんとした説明を要求してくれるわ、クックック・・」

やばい、ツッコミが追いつかないレベルで壊れてきてるぞ、唯さん。・・どうしてこうなった・・・

<PT>「・・ま、まぁ、とにかくマイルームの説明の続き。この倉庫とオーダーメイド専用棚はマイルーム購入時点から常にあります。500Gでこの二つを買ったと思えばいいかな?」

<PT>「ふむふむ。」

<PT>「そしてこのマイルームは、マイルーム用オブジェを手に入れて飾ることができます。」

<PT>「ほうほう。」

<PT>「マイルーム用オブジェには大きく2種類あります。特定のアイテムが収容できる保管オブジェと、ルームポイントが上がる家具オブジェです。」

<PT>「ルームポイント、ですか?」

<PT>「・・まぁ、当然の質問だけど、先に保管オブジェの説明をするね。保管オブジェはさっきのオーダーメイド専用棚みたいなものですね。」

<PT>「武器専用棚、防具専用棚、素材専用BOX、薬専用BOXの4種類があって、それぞれ名前の通りのものだけを入れることができます。」

<PT>「保管オブジェはそれぞれ各1までで、レアなものほどたくさん収容できるんですよね。」

<PT>「ですです。・・よかった~。唯さん、戻ってきた!w」

<PT>「・・なんのことです?」

<PT>「^^;」

<PT>「ww さて、続いて家具オブジェですが、その名の通りお部屋を彩るもの、と同時に快適度、華麗度、奇抜度という3つのルームポイントを上げる効果があります。ちなみに保管オブジェは一部を除いてルームポイントは上がりません。」

<PT>「そのルームポイントを上げると、何かいいことがあるのですか?」

<PT>「まず一つは、各ポイント一定値以上で、来訪者に能力のアップや経験値アップといったバフがつけられる「パーティ」というのが開けるようになります。必要ポイントが高い程、効果は大きいです。」

<PT>「もう一つはたまに起きる「マイルームランキング」というイベントで入賞できたりします。結構いいアイテムがもらえることもあるけど、不定期なのでもらえたらラッキー程度かな。」

<PT>「・・この前、ポイント足りていたのにパーティー開けなかったですよ?」

<PT>「うんと、パーティーは一番下のやつでも、ルームに最低3人以上いる状態でないと始められません。効果の高いパーティーだと、もっと必要人員が増えるものもあります。その辺がちょい面倒かな^^;」

<PT>「なるほど。」

<PT>「・・ちょうど3人いるんで、試しにパーティー開いてみますか。さっきのNPCレゥから買えるんでちょっと待ってて~。」

俺はパーティーアイテムを購入すべく、一旦ルームを出た。


<PT>「・・ところで、唯さんが聞きたかったことってさっきのですか?」

<PT>「そうそう。私の知る中でマスターが一番詳しそうだからね~。・・いろいろ癖はあるけど。あのモノローグはないわw」

<PT>「あれは^^;・・でも、確かにマスターいろいろ知ってますよね。この前もボスを吹き飛ばす武器使ったりしてましたし。」

<PT>「・・何その武器?」

<PT>「・・えっと、名前は確認してませんけど、ドーンて破裂音で、ボスが結構吹き飛んでて・・」

<PT>「・・・戻ったら聞いてみるわ・・」


 ・・・ルームから出るとチャットログは一旦解除される。そんなやりとりがあったとは露知らず、俺はマイルームに戻ってくる。

<PT>「戻りましたー。早速パーティーやってみますね。バフがつくまで10分間ほどここに居る必要があるのですが、大丈夫ですよね?」

-しばしの間-

<PT>「・・問題なし。」

<PT>「・・だ、だいじょうぶです。」

<PT>「な、なんか妙な間があったような? とにかく始めますねー。てい!」

俺は3人から始められるパーティーアイテム「お茶会セット」を使った。この効果は1時間の攻撃力、防御力アップ。一番オーソドックスな効果だ。

<PT>「さって、10分間この部屋から間違って出ないようにすれば、何やってもOKっす。」

<PT>「・・では、一つ質問いいです?」

<PT>「ぬ?唯さん?いっすよ、どうぞ。」

<PT>「・・前にミアさんが見たっていう、「ボスを吹き飛ばす武器」について教えて欲しいんですけど。」


(?? ・・ぁ~、あれか~。)

俺はその武器を持っていたので、即座にチャットに貼り付ける。こうすることでそのアイテムの効果が、他の人にも見えるのだ。

<PT>「うんと<空気銃>これのことっすよね?」

<PT>「空気銃って・・^^;」

<PT>「・・威力は低いけど、相手を吹き飛ばす効果。・・この効果ボスにも効くんですよね?」

<PT>「・・みたいっすね。効かないボスもいるかもですが^^;」

<PT>「・・wikiでも見たことないんですけど、どこで手に入れたんですか?」

<PT>「う~んと、確か、2鯖が出来た時の記念イベントで、運営からもらいました。ネタアイテムと思ったら、意外と使えてラッキって感じw」

<PT>「・・そうですか。私が始める前のイベントアイテムなんですね。」

<PT>「うい。イベントアイテムは色々あるから、wikiに載ってなくても仕方なしです^^;」

<PT>「・・・ですね。了解しました。」

了解しましたと言いつつ、なにやら合点が行かない感じだと、後からしたら思ったわけだが、・・俺も多分唯さんも、次のミアさんのセリフでその辺の空気は吹き飛んでしまった。

<PT>「・・すいません。wikiってなんですか?」

<PT>「え?」

<PT>「・・あれ、教えてませんでしたっけ?^^;」

<PT>「は、はい。・・・なんか、すいません・・・」

<PT>「ぁ、いえ、別に問題ないっすよ。」


 それから俺と、なぜか唯さんのふたりがかりで、ミアさんにここのwikiについて教える。・・そっかー、教えてなかったか・・

<PT>「わかりました!こんな便利なサイトがあったんですね!!」

<PT>「あー、はい。いろいろ載ってるんで、たまにちらっとでも見てくらさい。さて、どうします、ミアさん?」

<PT>「? どうしますとは?」

<PT>「・・また、この魚は脈絡のないことを・・」

<PT>「・・・「マイルーム借りますか?」って話だよ!・・というか、そもそもその説明でここに来たんだよね!? 後、さりげなく魚言うなww」

<PT>「・・ぁー、なんかそんな話もあったわね。」

<PT>「借ります!500Gは痛いけど、なんだか面白そうなので!!」

ほほう、これは・・・

<PT>「・・りょかいです。ではマイルーム記念として<ちっさな素材BOX>をあげますね~。よかったら置いてくださいw」

<PT>「ちょ、それだけで、軽く500はするわよ!」

<PT>「うむ、だから記念です。・・け、決して余ったからじゃないんだからね!」

<PT>「・・つまり余り物なわけですね。うわー、ギルマス株大暴落だわーー。」

<PT>「ちなみにそれ現在、おいくらくらい?」

<PT>「・・・・・120円くらい? ぁ、通常のギルマス株は1000円以上はありますからw」

<PT>「低いな、おい!;;」

軽く凹みました。

<PT>「・・はは、とにかくありがたくいただきますね。それで、ちょっと言いづらいんですけど、」

<PT>「ん?なに?遠慮せず言ってみ?」

<PT>「そうそう。今更、この最安値マスターに遠慮などなしなし。」

<PT>「・・・俺のこと嫌いすぎでしょ、唯さん・・;;」

<PT>「www」

<PT>「^^; えっと、素材BOXいただきましたけど、・・そもそも素材って何に使うんでしょう?・・・」

<PT>「・・えっと、それは、」

うわ、いきなりだと説明しにくい!

<PT>「・・・親愛なるマイマスター。あとはお任せしました。ちょうどバフも付いたし。」

<PT>「こんな時だけーー!! ぁ、PT切っちゃうのまさか!?」

<PT>「・・・頑張って株を上げてください。では・・・」


<システム>「唯」さんがPTから外れました。


「唯さーーーーー!!!」

<PT>「すかさずギルチャに切り替えた!?」

「な、なんだ?どうしたさかなん?」

「・・テル。あとは任せたわ。ちょっと落ちるから。」

「ぇ、なに、なんで?」


<システム>「唯」さんがログアウトしました。


「・・ほんとに落ちたーーーー!! ww」

「お、おい、何が何だか全くわからないんだけど・・?」

「わ、私のせいでしょうか・・?」

 ぁー、確かにそうなんだけどさ。そういう言い方だとねぇ・・

「・・三角関係?痴情のもつれか・・マスターとしてその辺は注意しないと・・」

「ソウキマスヨネーー。・・お前ら、俺のことなんだと思ってるんだ!!?w」

「腐ったさかな?」

「・・わかった、そこに直れ。」

「そこってどこだよ!?」

「ははは・・・^^;」


こんな感じで一応マスターとして、素材について簡単にレクチャーもしました。

・・ほんと、びっくりするくらいギルメンに恵まれてるわ、俺・・・;;




― ちなみにその頃、ギルド「ボルケーノ」では、―


「ところで、Naoさんはマイルーム持ってます?」

「あ、都心にあるんでタウンに移したいと思います。・・移転時って、オブジェはなくなるんですっけ?」

「置いたオブジェはなくなるけど、置いてない状態なら消えないみたいだよー。・・と、ヒロぽんが言ってたw」

「・・なるほど。一旦リュックにしまわないといけないと思ったので、その情報は助かります。」

「どいたしましてー。・・ちなみにオブジェは保管系ばっかりだったりする?」

「? はい、そうですが、なにか?」

「ソンナキガシマシターー。・・いや、なんでもないっす^^;」


・・といったやりとりが、あったとかなかったとか・・・

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