第15話 依頼完了

アルトを治療院に送ったあと俺とチカはギルドに来ていた

「受付さん、依頼すんだよ~」

「はい、薬草でしたね、提出をお願いします」

「50束あるよ~」

「では、25銅貨ですね、この調子で頑張ってください」

「はいはい♪」

俺は適当に受付を済ませた


「ゆうちゃん、初依頼達成だね」

チカは興奮気味に喜んでいた

「落ち着け~でも、稼ぎは少ないけど達成感はあるね」

「だよね♪」

「さて、これからどうする?宿に帰ってシン達の連絡待つ?」

「う~ん、それもいいけど、異世界に来たんだし町を見て回らない?」

「そういえば、宿しか見てないな、プラプラ歩いて散策するか」

「うん、おしゃれなカフェとかないかな?」

「まあ、気になったところは入るか」

「やったー、さあ、行こ♪」

チカは満面の笑みで俺の手をひいていた


町に出てあらためて見ると、日本と違う、中世欧州風な景色に少し感動した

「地球じゃ見ること出来ないね~」

「うん、せっかく来たんだし楽しまなきゃ♪」

『チカも吹っ切れたな~』と考えていると思い出した

「チカ、どっかの商会に行こう、醤油を探さねば」

「あはは、ゆうちゃんらしいね、じゃあ、そこの大きな店に入って見る?」

「よし、いこー」

チカの手を引き店に入る

「いらっしゃいませ、本日の御用件は?」

店員に声をかけられ

「この店に醤油はないか?」

「醤油?なんの事でしょう?」

「ないの?味噌や米は?」

「申し訳ありません、そのような商品は聞いた覚えがありません」

「なぜだー!」

「すみません彼の故郷の調味料なのですが、きらしてしまいまして今探している所なのです」

「お力になれず申し訳ない」

「いえ、では失礼します」

チカは放心している俺を引いて店を出た


「神は死んだ」

「ゆうちゃん、生きてるからね、きっと何処かで見つかるよ」

「それまで我慢かぁ~」

落ち込んでるユウヤを見てチカはユウヤが興味を持ちそうなものを探した

「ゆうちゃん、あそこ武器屋みたいだよ、異世界に来たんだから見てみようよ」

「武器屋?」

ユウヤは言われるまま武器屋を見た

店先に飾られていたのは日本刀・・・

醤油のてががりか!

「チカ、行こう武器屋が俺を待っている!」

「待ってはいないと思うけど」

ユウヤに急かされるまま店に入った

「店主はいないか?」

ユウヤはいきなりレジに行き店主を呼び出した

「なんだ、お前は?俺が店主のガランだ」

奥から背の低い、髭面のおじさんがでてきた

「表の日本刀は何処で手に入れた」

「あれか、あれは俺が打った刀だ」

「なに!なら醤油をくれ」

脈絡なく醤油を求めていた

「お前さん、武器屋で醤油を買おうとするなよ」

「うるさい、俺は醤油に飢えているんだ」

「わかった、分けてやってもいいが条件がある」

「あるんだな、取りあえず条件を言え、無理なら力強くになるが」

「せめて力強くの部分は隠せよ、まあお前の剣を見せろ、たいした剣を持ってないならこの話しは無しだ」

「剣でいいのか?ほら」

ユウヤは草薙の剣を渡した

「ほう、いい剣だな、うん、ちがう、なんだこの剣は!見たことない材質、秘めた力が計り知れない」

あまりの反応にユウヤはひいていた

「もういいだろ、さっさと醤油を渡せ」

「もう少しだけ」

「やかましい、あまり自分の剣を渡したくないんだよ」

ユウヤは草薙の剣を、取り上げた

「そうだな、すまん、思わず我を忘れた、詫びに味噌と米もつけてやろう」

「あるのか!ありがたい」

「おう!故郷の特産で実家から送られてくる」

「故郷は何処だ?」

「北の山を越えたとこにあるサカイという町だ」

「チカ、目的地が決まったよ」

「いいけど、みんなに連絡してからだよ」

「お前さんよほど醤油が好きなんだな、よし、この町にいる間は分けてやるから取りに来い、代わりに剣を見せてくれ」

「自分の剣はちょっと抵抗あるから、これでどう?」

ユウヤはティルファングを渡した

「この剣は使えば破滅に導く魔剣だが、おっさん見たいに見るだけならいいだろう」

「こ、これは!素晴らしい!先程の剣は作りようがなかったがこれなら!」

「米、味噌、醤油を受けとる際に見せる事にしよう」

「頼んだぞ、絶対だからな!」

ユウヤは醤油を手に入れた


武器屋を離れ上機嫌でカフェに来ていた

「チカのお陰で醤油が見つかったよ、お礼は何がいい?」

「お礼なんていいよ、それより宿に帰ったら厨房借りて味噌汁作ってあげるね」

「ほんと、ありがとーチカはいいお嫁さんになるよ♪」

「そんな、もう、ゆうちゃんそんな事言って」

チカは顔を赤らめ、照れていた

そして、二人でお茶をしたあと宿にまっすぐ帰るのだった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る